日本式のよいサービスとは顧客が期待していることを察して臨機応変に提供することである。日本式サービスを支えるものは何か。京都の花街における人材育成を例に考える。
ビールの飲み方から何を読み解くか
ずいぶん前のことだが、神戸のホテルでサプライチェーンの国際コンファレンスを開催したときに、海外の参加者をつれて有馬温泉までエクスカーションに出かけたことがある。温泉に一緒に入って裸の付き合いの経験をしてもらおうというのが狙いだった。そのときに、温泉旅館の常務に、この旅館が提供しようとしているサービスのコンセプトについて講演をしてもらった。常務は、日本型のサービスの特徴を、欧米型のサービスと対比させながらわかりやすく話してくれた。
欧米流のよいサービスは、顧客の要求に迅速・的確に応えることだが、日本式のよいサービスとは、顧客が何も言わなくても、顧客が期待していることを察して臨機応変なサービスを提供することだという趣旨だった。外国人の学者たちは、言葉でのコミュニケーションがなくてどうして気持ちが通じるのだろう、と首をかしげていた。日本は同質的な社会だから、最小限のコミュニケーションでも気持ちが通じるのだろうと、日本に詳しい米国人学者が言ったので、皆はそれなりに納得したようだが、私は納得できなかった。
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