圧巻の石垣が桜に囲まれる
第2位には岡城(大分県竹田市)を挙げたい。海抜325メートルの台地上に100万平方メートル、すなわち東京ドーム22個分の敷地が、断崖上にそそり立つ石垣で支えられている。建物は明治の「廃城令」後に取り壊されてしまったが、石垣はほぼ完残し、どこを歩いても圧巻の印象を受ける。瀧廉太郎が「荒城の月」のイメージを得たといわれる城で、たしかに建物がない点では「荒城」だが、整備は行き届いている。
植えられているのはソメイヨシノ、ヤマザクラ、ヨウコウザクラ、ボタンザクラなどで、本数こそ450本ほどで、3位までに挙げた城にくらべて少ないが、圧巻の石垣が桜に囲まれる景色はたとえようもなく美しい。4月7日からは「第76回岡城桜まつり」が開催され、第48回大名行列や甲冑武者行列などのイベントも、城内と城下町で開催される。
樹齢100年を超える古木が彩る名城
いよいよ第1位。高遠城と並んで日本「三大桜の名所」にも選ばれている弘前城(青森県弘前市)を挙げる。津軽地方を平定した津軽氏の居城として慶長16年(1611)に完成した平山城で、幕末まで津軽氏の居城として存続した。本丸、二の丸、三の丸と付属の曲輪が三重の堀で区切られた広大な城地がよく残る。
また、現存12天守のひとつが残るほか、3つの三重櫓と5つの門も現存する。ただし天守は現在、平成27年(2015)から令和8年(2026)まで、石垣を修理するために曳屋によって本丸内側に移動されている。この1月に大雪による倒木で屋根が破損した二の丸未申櫓の現状も気になるところではある。
だが、弘前公園に植えられた50種類、約2600本の桜が咲き誇る光景は、圧倒的に美しい。そのうち300本は樹齢100年を超える古木である。しかも弘前城の桜は、正徳5年(1715)に津軽藩士が25本の桜を京都から取り寄せたことからはじまっており、歴史的な由来もある。「弘前さくらまつり」は4月18日~5月5日に予定されている。