世界で何が起きていて、経済はどういう方向へ動いているのか──。ゆるぎない視座を求めて、大前研一の門を叩くビジネスマンが増えている。彼らの物語を紹介しよう。
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ジャスダック上場のIT企業、フォーカスシステムズの森啓一社長が創業者からトップの座を禅譲されたのは2011年のことだった。
「3.11が起きる数週間前に呼び出され、『おまえ、4月から社長をやれ』といきなり告げられました。さすがに私は『ちょっと考えさせてください』と申し出たのですが、『この場で決断しろ。もしNOなら会社を辞めろ』と。こうなると、もうYESしか答えはありません」
トップに指名されたときの様子を森社長はそう振り返る。その後、取締役に残っていた他の創業メンバーも退任し、一気に経営陣の若返りが果たされた。
創業者たちはそのカリスマ性で会社を引っ張り、年商100億円を超える規模に成長させたが、同じ形でさらなる成長を果たすには無理がある。今後は各部門の調整をしっかり行い、組織的に動いていく体制を目指すことになった。
森社長は監査法人や税理士事務所を経てフォーカスシステムズに入社し、一貫して管理畑を歩き、社長に指名されたときは常務取締役管理本部長兼経営企画室長だった。森社長が大前経営塾に入塾したのは、何が目的だったのか。
「いま世界で何が起きているのか、あるいは経済がどういう方向に動いているのかについて、体系立てて学ぶ機会がこれまではありませんでした。経営者としてそうしたことをきちんと理解していないと不安がありますから、やはり勉強し直す必要があると思ったんです」
しかし、多忙な社長業のなかで大学院や講座へ定期的に通うのは困難である。そこでEラーニングで受講できる大前経営塾が選択肢にあがった。加えて、大前研一塾長に対する興味もあったという。