お笑い芸人の中で、役者としても期待できるのはだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「役者として期待する芸人ランキング」を紹介する。第2回は女性部門ベスト10――。(第2回/全2回)

思わずノートに書くほど惹かれた女性芸人の演技

男性芸人に比べて、女性芸人は役者としてのキャリア形成が難しいようだ。制作側のオファーがいかに刹那的かというのも想像できる。女優が断るルッキズム案件を託したり、話題になったときだけという使い捨て感も否めない。男性芸人に比べて出演作が少ないのはもどかしく思うだが、期待度ランキング、始めてみよう。

ポテンシャルが高そうと感じたのは4人。既に主演作がある人もいる。「この女優さん、いいわねぇ」なんて思ったら芸人で、驚いた人もいる。

10位 ベタな記憶喪失変身系を魅力ある物語に かなで(3時のヒロイン)

1作しか観ていないが、魅力的だったなと思い返してエントリーしたのが、3時のヒロインのかなで。根が暗く自己評価の低い太った女性が事故をきっかけに、超ポジティブになって恋に仕事に大活躍する「デブとラブと過ちと!」(TOKYO MX)で主演を務めた。

いわゆる記憶喪失モノだが、「話は普通でも、かなではずっと観ていたい」とノートに書くほど惹きつけられた。あの朗らかさは宝になる。

にしたんクリニック新CM発表会に登壇した3時のヒロインのゆめっちさん、福田麻貴さん、かなでさん(東京都目黒区の恵比寿ガーデンホール)=2024年5月27日
写真=時事通信フォト
にしたんクリニック新CM発表会に登壇した3時のヒロインのゆめっちさん、福田麻貴さん、かなでさん(東京都目黒区の恵比寿ガーデンホール)=2024年5月27日
9位 達観した女友達、チーママもいけるクチ ヒコロヒー

落ち着いたたたずまい、やることはやってそうな頼もしい印象。悩むヒロインの背中を押したり、ダメ出しをしたりと女友達感は抜群。トリッキーだったのは「だが、情熱はある」(日テレ)で主役の母親役。母にしては若すぎると思ったものの、託されるだけの安定感があった。「ミステリと言う勿れ」(フジ)で演じた、ビッグマウスの彼氏に流され、常習的に嘘をつく、やるせない女役がしっくりきたので、高いスキルをもった詐欺師やワケアリなチーママなど演じてほしい。