無理に足腰を鍛える必要はない

つまずいて転んでしまい、あわや骨折……なんてことが起きれば、寝たきり生活まっしぐらです。また、ベッドから立ち上がろうとしたときにフラつき、バランスを崩して転倒、骨折という事態も考えられます。

骨折には至らなくても、「いままで普通に歩けていたのに転びやすくなった」「立ち上がることさえままならなくなった」となると、弱った自分にガッカリしてしまい、気落ちしてしまう人もいます。

ですが、ここで読者のみなさんに言いたいことは、こうした事態を避けるために、ハードなトレーニングはいらない、ということ。必要なのは、頭を支えられる正しい姿勢のキープ力。それにはかんたんな体操や、生活習慣の見直しで十分です。いっしょに転ばない、フラつかないからだをつくりましょう。

ずっと歩ける丈夫なからだをつくると聞くと、「よ~し! 足腰を鍛えよう!」と、太ももやふくらはぎの筋肉をつけようとして、やみくもに下半身のトレーニングをはじめる人がいますが、それは大間違い! 立っているとき、歩いているときに、正しい姿勢をキープできることこそが、いつまでも健康で歩き続けるコツなのです。

かかとを安定させれば、からだ全体が安定する

かかとは、わたしたちのからだを支えている土台です。この土台が歪んでしまうと、骨や関節が次第にズレて、全身のバランスはみるみる崩れます。すると、からだを支えるためにつねに余計な筋力を使うことになり、立っているだけでドッと疲れてしまうのです。

ところで、足(片足)には何個の骨があるかご存知ですか? 正解は33個。

【図表2】外側からみた足の骨(上)/内側からみた足の骨(下)
外側からみた足の骨(上)/内側からみた足の骨(下)[出所=『死ぬまであるくにはかかとをトントン鍛えなさい』(SBクリエイティブ)]

意外と多いですよね。足の骨はそれぞれ関節でつながっています。足の甲側にも骨をつなぐ関節があって、本来は自由に動かすことができます。しかし、現代人の足はギュッと硬くまとまってしまい、バラバラに動かせなくなっていることが多いのです。とくに足の中心にある中足骨が固まっています。昔の人は素足で生活していたため、長い距離を無理なく歩くことができました。

しかし靴という文明が生まれ、本来は動くはずの関節を固定したまま歩くようになり、体幹が衰えて長時間歩けなくなってしまったのです。逆に言えば、かかとという土台を安定させつつ足の関節をやわらかくすることで、本来の丈夫な足腰をとり戻すことができ、脚力アップも期待できるのです!