自分を守るために謝るのはかえって失礼

いたたまれない気持ちになったから、言ったことを後悔したから、そういう理由で行動しているとしたならば、それは自分のその気持ちをおさめるためにしているということです。相手の傷ついた気持ちに寄り添っているようでいて、実は自己満足のためにしている行動とも考えられますよね。これでは決して、相手に対するフォローにもリカバリーにもなりません。

水面に落ちる水滴と波紋
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自分を守ろうとすると、逆に同じことを2度してしまうことがあります。たとえば、待ち合わせに遅刻しそうになったけれど、あまり待たせるのも申し訳ないし、ルーズな人間だとは思われたくはないので、到着までの時間を短めに伝えてしまう……なんて経験はありませんか。本当は10分遅れそうなのに、短めに「5分」と伝えるようなイメージです。

猛ダッシュしてみたものの、やはり5分というわけにはいかず、7分で到着したとしましょう。確かに10分遅れるという状態にはなっていませんが、それでもやはり2分の遅刻です。自分を守ろうとした発言のせいで、結局2度も遅刻を繰り返すことになり、さらに信頼を失いかねません。最初から素直に「10分」と伝えていた方がよほど印象は良かったでしょう。

自分を守るための行動は、時に相手に対してさらに失礼であったり、傷つけるようなものであったりするのです。

「なにもしない」というリカバリー

リカバリーというと、「なにをするか」と考えやすいですが、あえて「なにもしない」ということが必要なケースもあります。あれこれと言葉や行動をむやみに積み重ねることで、リカバリーになるより、かえって話を複雑にしてしまうこともあるからです。

相手が傷ついていたことに後で気づいて、どうしようもなく申し訳なさが湧き上がってきたとしても、わざわざ蒸し返して謝ると、相手にしてみれば「せっかくもう忘れようとしていたところだったのに……」とか「それにはもう触れないでほしいのに……」と、かえって嫌な気持ちが増すこともあります。

ですから、あえてそこには触れずにそっとしておく方が親切になることもあります。急いで同じ話題でなんとかリカバリーしようとするのではなく、次に会えた時に相手が楽しく話したくなるような話題を探す方が、むしろ喜ばれることもあります。