立憲民主党代表の野田佳彦氏は2011~12年、第95代内閣総理大臣を務めた。小・中・高校生向け教室「happier kids program」を主宰する長谷部京子さんは2018年、教室に通う子どもたちと野田氏をインタビューした。その内容をまとめた『僕たちはまだ、総理大臣のことを何も知らない。』(Gakken)より、一部を紹介する――。
インタビューに答える立憲民主党の野田代表
写真=共同通信社
インタビューに答える立憲民主党の野田代表(=2024年10月13日)

出る気がなかった生徒会長選挙の厳しい結末

子どものころは千葉県の船橋市に住んでいました。今はずいぶん都市部になっていますが、私が子どものころは、田んぼや畑があって、小さいころは野生的に元気に育ったんです。

私が変わったのは小学校6年生の時です。クラスのみんなから推されて、生徒会長選挙に出たんです。

全校生徒の前で、演説をしなくてはいけなくなりました。演説なんてしたことがなかったし、たくさんの人の前で話したことすらありませんでした。

出たくもないのに、クラスのみんなから推薦されて、とまどいながら出ました。そして、私は負けました。4クラスから1人ずつ候補が出たのですが、当選した子の演説が抜群にうまかったんです。冒頭の言葉に衝撃を受けました。

「私が当選したあかつきには」って言うんですよ。「アカツキ」という聞いたこともない言葉にショックを受けて、おじけづいたんです。その子は見事な演説で1位当選しました。お父さんやお母さんが、演説の手助けをしたのかもしれません。

2位は、今で言えばアイドル風のイケメンだったんです。女の子の圧倒的な支持を受けていました。結局僕は最下位でした。

小6の大失敗を機に、人前に出たくなくなる

ちょうど変声期、子どもの声から大人の声になる時で、喉がむずむずして気持ちが悪い時期でした。無理に声を出そうとすると、すっとんきょうな声になるんです。緊張しているし、その状況の中で第一声がそんな声だったんです。大爆笑になりました。その結果、みじめに落選し、大ショックでした。

その後、中学、高校、大学と人前で何かやろうなんてことはまったく思わなくなりました。シャイな少年でしたね。小学6年生のこの失敗を、ずっと引きずっていたんです。

選挙の前と後で劇的に変わってしまった小学校時代でした。

子どものころは、本を読むと、その本に出てくるいろいろな仕事に興味がわいていました。シャーロックホームズを読むと探偵に、ルパンを読むと怪盗に興味をもちました。

そのころは、読んだ本の影響を受けて、将来やりたい仕事はしょっちゅう変わっていましたね。