国会議員の定数削減はまだ果たせていない

私が総理大臣としてできたことは、社会保障と税の一体改革という、長年先送りされてきたテーマに実現への道筋をつけたことです。

与党だけでなく、当時野党だった自民党、公明党にも合意をしてもらって法律を作れたというのは、大きな成果だったと思います。

やり残したことは、議員の定数削減です。私が総理大臣の時、消費税を10%に引き上げることを決めたのですが、それはみんなが嫌がることです。

国民に負担をお願いする以上は、自分たち国会議員が身を切る覚悟を示さなければいけないと、議員の定数を削減するということを、自民党の安倍さんと当時の党首討論で約束しました。この約束が果たされなかったことが残念で、心残りです。

党首討論での野田佳彦氏と安倍晋三氏
2012年11月14日、党首討論での野田佳彦氏と安倍晋三氏(画像=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

二大政党制を作り直すために必要なこと

自民党の長期政権を倒した民主党が、なぜ長期政権を築けなかったか。それは政権運営に習熟していなかったことが大きいと思います。でも、誰もが最初から習熟しているわけではありません。経験をふまえて、次はもっとうまくやらなければいけない。

長谷部京子『僕たちはまだ、総理大臣のことを何も知らない。』(Gakken)
長谷部京子『僕たちはまだ、総理大臣のことを何も知らない。』(Gakken)

今、自民党が強いです。私がやり残したことで、今も議員として取り組んでいることは、二大政党制を作り直すことです。一強になるのは、他が弱いからです。他弱を解消するには、野党全体を大きく包み込こんでいかなければいけません。

野党同士で足を引っ張り合うのではなく、自民党と競い合うような政治勢力、政権を目指す野党を作らなくてはいけないと思います。

そのためには、野党は一丸となって固まっていかなくてはいけない。細かく見れば政策の違いはありますが、それでもチームとして固まる時は固まる。野党はそういうこらえ性をもたなければ、政権をとれないと思います。

自民党も国民のためにがんばる。もう一つの塊もがんばり、互いに競い合ったほうがいいんです。ライバルがいたほうがお互いに向上するじゃないですか。そういう関係性を作っていきたいですね。

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