総理大臣の一日はまさに「分刻み」
総理時代のスケジュールは決まったものはなく、毎日まちまちです。新聞に「首相動静」という欄があるので、それを読めばわかりますが、分刻みの毎日です。歴代総理大臣はみんな同じだと思います。
毎朝だいたい、7時くらいから会合が始まります。いろんな打ち合わせ、いろんな会議をするんです。国会開会中は、どんな答弁をするかなど、各省の役人と打ち合わせをします。そして8時くらいから、全大臣との閣議が始まります。
そのほか、政府の最高の意思決定をする場面があったり、国会開会中だと9時くらいから各委員会があったりします。また、海外からのお客様との予定が一日おきくらいに入ります。その人たちと夕食会をしながら外交活動をします。その合間に別の案件が上がってくることもあります。
まさに、「毎日違う内容が分刻み」なのです。重要なことも、じっくり考えたり、相談したりする時間などなく、素早く決断しなくてはいけないことが多いんです。
夜も政党関係の会議があったり、物事を進めていくためのキーパーソンと会ったり、終日仕事です。総理大臣は体力がないともちません。
震災から1カ月、東北で見た「原風景」
私は政治家として、まず千葉県議会議員を2期務めました。県議会議員から衆議院議員になった時、「10倍くらい忙しくなった」という実感をもちました。ですが、衆議院議員から総理大臣になった時には、「さらにその10倍忙しくなった」実感をもちました。
2011年3月11日、東日本大震災が起きた時、私は財務大臣を務めていました。そして、その年の8月に総理大臣になったんです。
4月に被災地に行った時、そこはがれきの山でした。でも、その中に桜が咲いていたんです。それを見て、来年この桜が咲く時には、落ち着いてお花見ができるような場所にしなければいけない、そのためには復興を急がなくてはいけないと、思いを強くしました。がれきに咲く桜は、今も原風景として心に刻まれています。