世界遺産に近づいた名城
さて、いよいよ第1位である。10月9日に文化庁がユネスコの事前評価の結果を発表し、課題はあるものの、世界遺産に登録する評価基準を満たす可能性があるとされた彦根城を挙げたい。
徳川四天王の一人、井伊直政が藩祖である彦根藩井伊家の城で、直政の死後、大坂の豊臣包囲網の一環として、徳川家康の支援で築かれた。すなわち諸大名が自費で工事を担当する天下普請で工事がはじめられ、慶長20年(1615)の大坂夏の陣で豊臣氏が滅んで以後は、井伊家単独で工事を続け、完成した。
国宝の天守のほか、天秤櫓など重要文化財に指定されている建造物が5棟現存する。城の中核をなす金亀山の北側の麓には、井伊家の下屋敷に付随して作庭された池泉回遊式庭園、玄宮園があり、この庭が秋にはあでやかに色づく。
国の名勝に指定されているこの庭園から遠望する天守は、彦根城の代表的景観だが、とりわけ紅葉の季節は美しい。また、紅葉時は夜間にLED照明で庭がライトアップされ、日中とはまた違った幽玄な景色が味わえる。
むろん、金亀山自体も赤や黄で染まる。現存する建造物を間近から、紅葉を重ねて眺めても美しい。