京都の真ん中にあるけれど紅葉の名所
夏の城めぐりはキツイ。とくに今年は猛暑で、流れ出る汗の量が半端ではなかった。下手をしたら熱中症になる恐れもある。また、木が茂って建造物が見にくく、石垣も草に覆われて、石積みが良く見えないことが多い。危険な動物などに遭遇するリスクもある。
その点、秋は城めぐりにふさわしい季節である。歩きやすい気候で、草木が夏のようには生い茂っていない。だが、それだけでない。木の葉が美しく色づいて、城のある景色がとても映える。
夏に躊躇していた人は、ぜひこの時期に各地の城を訪れることを勧めたい。では、どこの城をめぐるのがいいか。そこで紅葉シーズンにこそ訪れたい8つの城をピックアップしてみた。景色の美しさだけではない。歴史的に価値があって、遺構がよく残り、それらと紅葉がマッチし、しかも訪れやすい、ということを選ぶ際の基準にした。
第8位は二条城(京都市中京区)。徳川家康が慶長6年(1601)に築城に着手した、京都における徳川将軍家の本拠地で、世界文化遺産に登録されている。現存する国宝の二の丸御殿で、最後の将軍の徳川慶喜が大政奉還を行ったことでも知られる。
京都の真ん中に位置する平地の城だが、ここが意外にも紅葉の名所なのである。
緑の芝と紅葉の組み合わせがいい
歴史的景観を眺めるなら、二の丸御殿の前に広がる特別名勝、二の丸庭園がいい。作庭の名手、小堀遠州の手になる池泉回遊式庭園で、美しくも力強い石組と水面の合間に、色鮮やかな紅葉が映える。本丸の西側、重要文化財に指定されている西北土蔵の周囲も、石垣と堀を背景に、赤や黄色の紅葉と白い土蔵とのコントラストが美しい。
一方、本丸御殿は、京都御苑内の旧桂宮邸を明治27年(1894)に移築したもので、本丸庭園も明治時代、ヨーロッパの庭園を意識して設計された。だから、二条城が「現役」だったころの景観ではないが、緑の芝と紅葉の組み合わせがいい。本丸の天守台からも、本丸庭園のほか、色づく紅葉を一望できる。
城内北側の清流園も、昭和39年(1964)から整備された庭だが、和洋折衷の庭園に色とりどりの木々の葉が調和する。