夜間ライトアップで幻想的な光景に

第4位は会津若松城(福島県会津若松市)とした。東北屈指の名城で、蒲生氏郷や上杉景勝、加藤嘉明らが城主を務め、寛永20年(1643)、3代将軍徳川家光の弟の保科正之が入封してからは、会津松平家の居城になった。戊辰戦争では新政府軍に包囲され、砲撃を受けながら1カ月にわたって耐え、堅城ぶりを見せつけた。

鶴ヶ城
別名、鶴ヶ城とも呼ばれる会津若松城(写真=Raita Futo/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

その後、天守をはじめとする建造物は、朝敵とされた会津藩への見せしめのように放置されたうえで取り壊されたが、天守と走長屋は昭和40年(1965)に鉄筋コンクリートで外観復元された。また、平成13年(2001)には南走長屋と干飯櫓が木造で復元されている。

城を囲む木々の全体が赤く染まり、圧巻の紅葉が楽しめる。紅葉時期には夜間のライトアップも行われ、色鮮やかな紅葉と石垣、白亜の天守が織りなす幻想的な夜景が味わえる。

1100本のカエデによる落ち葉の絨毯

第3位には弘前城(青森県弘前市)を挙げておく。弘前藩主として君臨した津軽氏の居城として、津軽平野に築かれた弘前城は、現在も堀、石垣、土塁などがほぼ完存する、全国でもきわめて貴重な城である。そのうえ三重三階の天守のほか、3棟の櫓と5棟の門も現存する。

弘前城
弘前城(写真=Feri88/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

そんな城内にはおよそ1100本ものカエデが生え、木々が鮮やかに染まるだけでなく、真っ赤な落葉の絨毯も美しい。また、約2600本のサクラの葉も、寒い地方なので色づきがよく、こちらの美しさも侮れない。現在、天守を曳屋して石垣の解体工事を行っている。その箇所は若干、無粋な景色を呈しているが、ほかのエリアだけで十分に楽しめる。

第2位は世界遺産の姫路城(兵庫県姫路市)としたい。言わずと知れた世界遺産であり、大天守をはじめ8棟が国宝に、74棟が重要文化財に指定されている。複雑に積まれた石垣と、その上に建てられた白亜の櫓や門、塀が重層的に折り重なり、その頂点に3棟の小天守に囲まれた大天守がそびえる。この唯一無二の景観は圧倒的に美しい。

じつは、姫路城の中核を占める姫山は、天守のすぐ北側の斜面にケヤキやモミジバフウなど、秋に鮮やかに紅葉する木が集中的に生えている。北側から紅葉越しに眺めた白亜の天守は、息をのむほど美しい。

姫路城を訪れたら好古園(正式名称は姫路城西御屋敷跡庭園好古園)も訪れたい。発掘された武家屋敷の遺構を活かして作庭された池泉回遊式庭園で、鮮やかに染まった姫山の樹林を借景に、大滝や大池の眺めを紅葉とともに楽しめる。絶景である。

2009年秋の姫路城
秋の姫路城(写真=Corpse Reviver/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons