マーケティングを学ぶうえでまず重要なのは、変化を知ることである。『どうする?日本企業』は、バブル崩壊以降の日本企業の変化を、『家族の勝手でしょ!』は、食卓から見た消費者の変化を読み取ることのできる良書だ。
2000年以降、提供者である企業と受容者である消費者の境界線が曖昧になっている。IT技術の浸透により、消費者発の情報提供や商品開発、イノベーションが数多く起こるようになった。フリー百科事典サイトのウィキペディアは、創造力のある消費者を活用したわかりやすい例だろう。彼らをどう活かすかという点で、『クラウドソーシング』『民主化するイノベーションの時代』は参考になる。
変化を知った後は、理論を学び、それをどう使うかを検討しよう。『戦略プロフェッショナル』は、ミスミグループ本社の三枝匡CEOが書いた小説仕立ての戦略書。戦略と名はつくが、「誰に、何を」行うかというマーケティング的視点を備えており、経営者だけでなくミドルも必読の名著だ。『星野リゾートの教科書』には、教科書の理論を用いて、課題解決するためのケースが描かれている。星野リゾートの星野佳路社長は、判断に迷ったときこそ、専門家によって書かれた理論書を読むことを勧めている。最良の理論書としては、定番中の定番である『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』を挙げたい。