経営戦略とは一言で言えば資源配分のこと。企業活動では、人員配置や予算の確保が通常業務として行われている。ただ留意すべきは、資源配分の背後に意図したシナリオがあるかどうか、そしてその意図がきちんと反映されているか、ということだ。

資源配分の背後にあるシナリオとして大切なことは「ボケとツッコミ」のバランスが取れていること。「ボケ=まさか、ツッコミ=なるほど」とも言い換えられる。

「ツッコミ」とは、「なるほど」と思える道理の通った考え方。この部分は訓練すれば比較的誰にでもできるようになる。教科書的な経営戦略の本は「ツッコミ」の素養を養うには効果的だろう。右の図書のうち、最下段に挙げたアカデミックな著作は、戦略の道理を学ぶのに最適だ。

より難しいのは「ボケ」の部分。「まさか」と思わせる新しい考え方を編み出し、付加価値をつける作業だ。ビジネスに使える「ボケ」のセンスを身につけるためには、経営戦略の王道の本ばかりを読むより、多様な分野の本から発想の種を常に仕入れるほうがいい。ビジネスとは無関係に思える、古今のヒットメーカーや哲学者の言葉、文学者の対話本なども、経営のための能力を磨くのに十分有効なツールだ。

いい経営戦略は「なるほど」という道理を踏まえたうえで、「まさか」という手法を組み合わせたところに生まれるものである。