人員削減と大型投資を同時に行う企業が増えてきた。社員は企業の構造改革や戦略転換における駒の一つとみなされる傾向にある。経営者が戦略的な意思決定をするためには、人という経営資源のもつ複雑さを考える必要があると筆者は説く。

日本の経営者の人材への考え方は変わってしまったのか

3年前、私は、このコラムで以下のような文章を書いた(http://president.jp/articles/-/1886)。

《企業業績が急激に悪化する中で、企業による素早い雇用調整が始まった。もちろん、バブル経済崩壊直後に比べれば、いまだ大規模ではないし、また、これを書いている時点では、雇用調整の主なターゲットは、派遣労働者、期間従業員など、いわゆる非正規労働力が中心だ。

ただ、正直にいえば、今回非正規雇用に手をつけるスピードと、その徹底ぶりについては、私自身も少し驚いている。そしてそこから受ける印象として、バブル経済崩壊からの回復過程で、わが国の経営者の人材とか雇用に関する考え方が少し変わってしまったのではないかという感覚がある。