※本稿は、飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
40代からは「免疫暴走」が起きやすくなる
あらゆる病気の裏に、免疫暴走がある――。
そう気づいたのは、ホルモン測定などで抗体を扱い、さまざまな病気の原因を学んでいたころのことでした。この免疫暴走とはいったい何なのか、どのようにして起きているのか、本稿でよりくわしくお話ししていきましょう。
40代からは、体内が「免疫暴走」状態に陥りがちになります。それは、攻撃役の攻撃力が低下し、処理すべき対象(=ウイルスや細菌、古びた細胞や傷ついた細胞などといった体内のゴミ)が溜まっていくからですが、もう一つ重要なファクターがあります。まず以下の3つをご覧ください。
②体内がゴミ屋敷になる
③免疫の「制御役」が減る・弱る
つまり、免疫の攻撃役(以下、攻撃免疫と呼びます)が体に不要なものを破壊できなくなるだけでなく、免疫の制御役(以下、制御免疫と呼びます)が減るというファクターが加わることで、暴走した攻撃免疫を止められなくなってしまうのです。
こうして免疫細胞たちが機能不全に陥るとと、年老いた細胞を破壊し新しい細胞をつくり出している「若返りシステム」をまわすどころではなくなり、体の中から急速に老いていきます。
一つずつ見ていきましょう。
年をとると免疫細胞たちも「ヨボヨボ」になる
免疫暴走が起きる原因① 攻撃免疫が「老眼」「ヨボヨボ」になる
私たちが加齢とともに老眼になり筋力も衰えていくように、免疫細胞たちもだんだん衰えます。この衰えによって攻撃免疫は、破壊すべき敵と破壊してはならない味方の見分けが曖昧になっていき、ところかまわず攻撃するようになってしまうのです。
外敵を破壊してくれていた、攻撃免疫という強力な味方が暴走する。こう考えると、そのおそろしさをイメージしやすいのではないかと思います。ただ、老化しているぶん動作は緩慢で攻撃力も弱いため、悲しいことに外敵をなかなか破壊できないのですが……。
厄介なのは、攻撃免疫は攻撃中に「ヤバいのがいるぞ!」というサイン、つまり炎症性サイトカインを出して、仲間の攻撃免疫を呼ぶ性質があることです。外敵駆除は基本的にスピード勝負なので、こうしたサインを出すこと自体は、もちろん間違ってはいません。
厄介なのは、攻撃免疫は攻撃中に「ヤバいのがいるぞ!」というサイン、つまり炎症性サイトカインを出して、仲間の攻撃免疫を呼ぶ性質があることです。外敵駆除は基本的にスピード勝負なので、こうしたサインを出すこと自体は、もちろん間違ってはいません。