朝から便の10倍もの細菌を食べている?
体内に生じたゴミが免疫暴走を加速させてしまうことは、先にお話ししました。じつは現代人の多くは、日々の生活で体内にゴミを大きく増やす行為をしています。
口内の細菌は、よく歯を磨く人でも1000億~2000億個はいるそうで、あまり磨かない人は4000億~6000億個、ほとんど磨かない人になると1兆個もの細菌がいると言われています。
この口内の細菌数が最も増えた状態になるのは起床直後です。睡眠中は食事も会話もしないため殺菌作用のある唾液の分泌量が減り、口の中が渇きがちになります。
さらに口呼吸をしている方は口の中が乾燥するため、なおさら唾液による殺菌が進みません。そのため睡眠中は口内細菌の数がかなり増えてしまうのです。起床直後の唾液1ccに含まれる数は、なんと糞便1gに含まれる細菌数の約10倍とも言われています。できれば、この状態では食事をしたくないですよね。
これらの菌でも特におそろしいのが歯周病菌です。歯周病菌は体内に侵入しようと歯肉を攻撃しますが、それによって歯肉が腫れてくると容易に血管内に入り込んでしまいます。これは、まさに攻撃免疫が処理すべきゴミである菌が血管を通じて全身にばら撒かれる状態です。
歯磨きは必ず朝食前に行うこと
さらに歯周病菌が生み出す毒素にはインスリンの機能を抑制し血糖値を上げるはたらきがあるため、糖尿病の原因にもなります。また、歯周病菌を食事のときに飲み込み、それらが腸まで届いてしまえば腸内環境も悪くなって、免疫細胞たちにもダメージを与えるのです。
睡眠中に口で繁殖した歯周病菌をわざわざ体内に送り込まないためにも、ぜひ歯磨きは朝食後ではなく朝食前に行ってください。
過食や運動不足が健康に悪影響を及ぼすのはよく知られた事実ですが、これは免疫の観点からもやはりNGです。どちらも脂肪細胞を太らせることにつながるからです。脂肪細胞が太っていくと脂肪細胞から飽和脂肪酸が放出され、これが例の炎症性サイトカインを発令させます。さらに脂肪細胞にマクロファージなどが浸潤して炎症性サイトカインの量が増加。
すると、その刺激を受けた脂肪細胞から遊離脂肪酸が放出され、これが血中を巡って全身へと広がっていくのです。肥大した脂肪細胞、飽和脂肪酸、遊離脂肪酸、どれもみな攻撃免疫のターゲットとなります。
また、運動不足は血行も悪くするため、免疫細胞たちが活動しにくくなるという側面もあります。40代以降は消費エネルギーが減るため、若いころと比べて食べる量や回数を減らしても大丈夫になるものですが、そういう実感のない方は要注意です。免疫暴走によって、レプチンやグレリンといった食欲をコントロールするホルモンの分泌に異常が生じているおそれがあります。