血管が老化すると認知機能にも影響が

110歳以上のスーパーセンチナリアンの多くは、100歳の時点でのADL(日常生活機能)が高く、自立した生活を送っていました。では、100歳になるまではどんな生活をしていたのでしょうか。

それを明らかにするために、私たち百寿総合研究センターでは神奈川県川崎市と共同で、85歳からの健康状態や生活習慣がどのように長寿に関わっているのかを調べる「川崎元気高齢者研究」を進めています。

この研究は17年にスタートしたもので、まず85歳から89歳までの自立した男女1026人を対象に基礎調査を行った後、その変化を追跡調査しています。どのような生活習慣や社会環境が健康状態に影響しているのかを明らかにすることで、自立から要介護に至るまでの過程を明らかにするのが狙いです。

40年には85歳以上の人口が1000万人に到達するといわれています。つまり10人に1人が85歳以上という時代です。85歳からの健康状態を調査することは、社会全体の介護負担を減らすためにも、とても重要なのです。

この研究はすでに開始から5年が経過していますので、元気に年を取る人と介護が必要になる人の違いが何によるものなのかが明らかになりつつあります。この先、5〜10年のうちには成果が出るでしょう。「川崎元気高齢者研究」以前の研究で、すでにわかっていることもいくつかあります。その一つが、血管の老化を遅らせることの重要性です。人間は細胞でできていますから、その細胞に栄養や酸素を運んでくれる血管はとても大切です。血管の老化は脳の血流にも影響するので、認知機能にも関わります。スーパーセンチナリアンが100歳時点で自立しているのは、この脳の血流が保たれていることも一因です。

母の日にカーネーションを渡す手元
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血管の老化を遅らせるために大切なのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを下げることです。よく「年を取ったら好きなものを食べたほうがいい」と言われることがありますが、過去に心筋梗塞などを起こして血管に障害がある人は、高齢になってもコレステロール値を下げるためのコントロールを続けましょう。

血管の老化度は、検査で測定することができます。血管内にプラークがあるかどうかを調べる頸動脈超音波検査や、動脈硬化の程度を調べる血圧脈波検査などで、血管の状態がわかります。これらの検査は、人間ドックのオプションになっていることも多く、希望すれば受けることができます。

身体活動が多い人ほど長生きする傾向に

血管の老化を遅らせることもそうですが、元気な百寿者になるために大事なのは、若いときからの積み重ねです。特に身体活動が多い人は、長生きする傾向にあります。定期的な運動を継続している人は、心機能が低下するほど分泌されるNT-proBNPの数値が低く抑えられていて、心機能が保たれていることがわかりました。

さすがに100歳を超えてハードな運動をしている人は少ないのですが、85歳以上で元気な人たちの7割くらいが散歩の習慣を持ち、その次に多かったのがラジオ体操などです。数はかなり減りますが、ゴルフ、水泳、ダンスなどを楽しんでいる人もいます。

川崎元気高齢者研究では、85歳以上の対象者に加速度計をつけてもらい、1週間の活動量を測定したところ、活動量が多い人ほどフレイルになりにくいことがわかりました。さらに、運動習慣がある人のほうが脳の萎縮が少なく、認知機能の低下が抑えられるといわれています。