※本稿は、飯沼一茂『倍速老化』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「外見上は特に変化がない人」ほど危険
医学の進歩により感染症の脅威をある程度コントロールできるようになった昨今、人類は大幅に平均寿命を延ばすことに成功しました。しかし、せっかく延ばした寿命を自ら縮めているのではと思わせられるのが、糖尿病や肥満、血圧・血糖値・血管の異常などの蔓延です。
外見上は特に変化がないのに、検査にも現れにくい形で血液や血管にトラブルを抱え体が内側から急速に老いる「見えない老化」は静かに進行していきます。しかし「最近、寝ても疲れが取れない」「どうも不調から抜け出せない」といった症状が続くだけで痛みなどの強い自覚症状がないため、これを食い止めることは非常に難しいのが現状です。
この「見えない老化」の進行を止めるために役立つのが、腸内環境を良好に保つことです。腸内環境を整えることが体内を急速に老化させる免疫の暴走を抑える力を育むうえで、大いに役立つことを示した医学論文は多数提出されています。
世界中の製薬会社が「免疫」に注目し始めた
こうした流れを受け、医療を筆頭にさまざまな業界で免疫の大切さが見直され、再注目されるに至りました。世界中の製薬会社が懸命に投資し研究・開発を急いでいる分野も、この腸内細菌です。腸内細菌がこれだけ私たちの健康を支えてくれていたとわかったのは、ここ10~20年ほどのことであり、その医学界におけるインパクトは、ワクチン、抗生物質に次ぐ「第3の衝撃」と言われているほどなのです。
ここからは、免疫や腸内細菌に関連する最新医療について、ご紹介していきましょう。
腸内環境が大事と言われても、何が本当に有効なのかピンと来ない方も多いかもしれません。「毎日ヨーグルトを食べて乳酸菌を」「サプリメントで短鎖脂肪酸を摂ろう」などというのは、すべて腸内環境の改善に役立つことです。ただヨーグルトに含まれる乳酸菌の多くは胃液で死滅しますし、生きたまま腸まで届いたとしても乳酸菌のエサがないとうまく働いてくれません。また体に合った乳酸菌を見つけないかぎり、なかなか効果を実感できないものでもあります。