『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー 著 フランクリン・コヴィー・ジャパン 訳 FCE(キングベアー出版)

スティーブン・R・コヴィー
Stephen R. Covey

1932年、アメリカ出身。国際的に高く評価されるリーダーシップ論の権威。教育者、組織コンサルタントとして活躍。タイム誌が選ぶ世界で最も影響力のあるアメリカ人25人の一人に選出。147の国にサービスを提供するプロフェッショナルサービス企業フランクリン・コヴィー社の共同創設者。ユタ州立大学商経学部終身教授、リーダーシップ学において同大学の名誉職ジョン・M・ハンツマン・プレジデンシャル・チェアに就く。2012年7月、79年の生涯を閉じた。

最強の習慣を人生に取り入れる

実りのある人生には、それを支える基本的な原則があり、人格に取り入れ内面化させて初めて、真の成功、永続的な幸福を得られる。そのためには、自らの態度と行動の源泉である「パラダイム(物の見方)」を観察し、「原則」を中心軸に据えたパラダイムへシフトしていく必要がある、と著者は語る。

個人の成長、効果的な人間関係を実現するものが「7つの習慣」だ。7つのうち、第1・2・3の習慣は依存から自立へと成長する習慣で、「私的成功」をもたらす。「公的成功」を築くものが、第4・5・6の習慣だ。第7の習慣は「再新再生」の習慣で、成長という上向きの螺旋を生み出す継続的改善を行うことで、第1から第6までの習慣をより高い次元で実践できるようになる。さっそくそれぞれの習慣について解説していこう。

【図表】7つの習慣で自分自身を成長させる

第1の習慣は「主体的である」。主体的な人は自分の行動が、周囲の状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果だと知っている。そして、その行動の結果に対しても責任を引き受ける。一方、主体的でない人は、仕事のミスをはじめ何でも他人のせいにし、自分の性格や行動まで、親や社会などに責任転嫁してしまう。主体的になるためには、自発的に率先して行動する「率先力」を発揮する必要がある。その率先力の影響によって相手や周囲も変わるイメージを、著者は「影響の輪」を使って説明する。

世の中のさまざまな事象で自分が関心を持つ「関心の輪」を描き、その中で自分が大きく影響できるものを「影響の輪」でくくる。主体的な人は、まず影響の輪に意識を集中し、自分の力が及ぶ範囲の物事に対して率先力を発揮する。次第に相手や周囲も変わり、影響の輪が広がっていく。著者は30日間、この影響の輪の中にあることだけに取り組むことを勧める。間違いを他者のせいにせず、自分がコントロールできることに率先して取り組む。そうすれば、影響の輪が変化することに気づくからだ。

第2の習慣は「終わりを思い描くことから始める」である。人生のすべての行動を測る尺度・基準として、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて一日を始める。言い換えると、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。そうすれば正しい方向へ歩みを進め、自分を導くリーダーシップも効果的になりうる。

この第2の習慣を身につけるためには、「個人のミッション・ステートメント」を書くことを勧めている。どのような人間になりたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献・功績)、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書く。それがあれば、変化に対応しながら生活ができ、予断や偏見を持たずに現実を直視できる。

先の主体的という第1の習慣のベースは「自覚」で、その主体性を広げ、自分を導くリーダーシップを発揮するものが「想像」と「良心」だ。

想像力を働かせると、潜在能力を開花できる。次に良心を働かせると、不変の法則や原則を実践する独自のガイドラインを引ける。自覚という土台に想像と良心を乗せれば、自分自身のミッション・ステートメントを書けるようになるのだ。

第3の習慣は「最優先事項を優先する」。時間管理の本質は、「意志」を活用して優先すべきことを決め、日々の生活の中で自分を律しながら実行していくことだ。時間は自分の意志にかかわらず刻々と進み、管理できない。管理すべきは、最優先事項を優先するという行動の順序なのである。

その行動の順序を考えるに当たって、著者は「緊急度」と「重要度」の尺度からなる「時間のマトリックス」を用いる。人間の行動は「緊急度が高く重要」「緊急度は低いが重要」「緊急度は高いが重要度は低い」「緊急度も重要度も低い」の4つの領域に分けられる。人生を充実させるためには、「緊急度は低いが重要」に集中することが大切だと説く。ここには人間関係づくりをはじめ、成長に役立つ重要な活動が含まれているからだ。その実践には「緊急度は高いが重要度は低い」「緊急度も重要度も低い」の領域への関与を減らす必要がある。緊急に見えても、原則と照合して重要でなければ「ノー」と言う。緊急度も重要度も低いものについては、人に任せよう。