ノーベル賞作家の代表作「初の文庫化」で話題に
「長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない」
この有名な一文で始まる本書は、南米コロンビアの作家、ガルシア=マルケスのベストセラーだ。1967年にアルゼンチンで出版されるや世界に衝撃を与え南米文学ブームを牽引。著者はノーベル文学賞を受賞した。全世界での累計発行部数は5000万部超。日本での初版は72年で著者没後10年となる2024年、初の文庫化である新潮文庫版が話題になっている。
マコンドという架空の村で暮らすブエンディア一族の百年の盛衰、というのが大まかな筋だが、登場人物が多いうえに、時間はたびたび前後し死者がよみがえり、虚実ないまぜで荒唐無稽。西欧の批評家から「マジック・リアリズム」と称されたゆえんである。
物語はホセ・アルカディオ・ブエンディアといとこのウルスラの結婚から始まる。一族には血縁の近い者同士が結婚して「豚のしっぽ」のある子どもが生まれたという過去があり、恐れたウルスラの母親は娘に帆布のズボンをつけさせる。それを揶揄した者があり、ホセ・アルカディオ・ブエンディアは相手を殺してしまう。村にいられなくなったふたりは数人の仲間とともに旅に出て、2年間の放浪の末たどり着いた場所を「マコンド」と名づけ、開拓を始める。マコンドに人が増え始めると、さまざまな文明の利器を携えたロマがやってくる。その中のひとり、老齢のメルキアデスはのちに本書の鍵となる予言書を残すことになる。
夫婦には3人の子どもが生まれる。長男のホセ・アルカディオは巨根の持ち主で性豪。次男のアウレリャノ(のちの大佐)は金細工の才を見せ、このふたりに長女アマランタと養女レベーカを加えたのが一族の第2世代である。
やがてホセ・アルカディオはロマの娘と村から出奔。探しに出かけた母ウルスラは、文明世界へとつながる道を発見して5カ月後に帰宅する。村は急速に発展し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアはリーダーとしての才能を発揮。家族が増えてウルスラは家を増築する。居室を与えられメルキアデスは羊皮紙に謎めいた文字を書き続けていたが、あるとき川で死体で発見される。ホセ・アルカディオ・ブエンディアはかつて自分が殺した相手の幽霊を見て発狂し、栗の木に縛られる。
選挙を通じてこの国の欺瞞に気づいたアウレリャノは「大佐」を名乗り、自由党の戦士として活動。ついには全土を指揮する革命軍総司令官になる。ちなみに、実際にガルシア=マルケスの生地コロンビアでは自由党と保守党に国が二分され、過酷な内戦が3年以上続き、千日戦争と呼ばれている。
しかし自由党は敗北。逮捕された大佐は処刑のためマコンドに連れて来られるが、兄のホセ・アルカディオにより救出される。マコンドの創始者ホセ・アルカディオ・ブエンディアが死に、小さな黄色い花が雨のように降る。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント


