思わず唖然……テレビ局社員が放った言葉

いまやる、すぐやる、好きなようにやる。それが、社会に出てから44年間、貫いてきた私の信条です。周りに忖度そんたくせずに、自分が正しいと思うこと、好きなことをする。私はお金を稼ぐ手段というよりも、「遊び」に近い感覚で仕事に取り組んできました。だからかもしれません。末期がんを宣告されたいま、やり残したことはほとんどないと言い切れるのは――。

もりなが・たくろう
もりなが・たくろう●1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年東京大学経済学部卒業、日本専売公社(現JT)に入社。経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。2023年12月、ステージ4のがん告知を受ける。

「来年の桜は見られないと思います」

昨年11月23日、私にステージ4の末期がんの疑いがかかりました。ただ当初は自覚症状がまったくなかったので、自分ごととして受け止められませんでした。専門医にセカンドオピニオンを求めましたが、2人とも同じ見立て。その後、年末にがんが確定し、抗がん剤治療で体調が一気に悪化しました。考えられない。しゃべれない。飲めない。食べられない……。朦朧もうろうとするなか、はっきりと死を意識しました。

がん宣告を受けた多くの人が延命を望み、長らえた時間でおいしい物を食べたり、旅行に出かけたりしたがるそうです。しかし死を意識した私にそうした欲求は一切わきませんでした。その代わり真っ先に、何が何でも未完成の新著を刊行し、真実を世に問わなければ、と強く思ったのです。

運良く「気付薬」のような点滴が効き思考能力が戻り、会話ができるようになると、息子に口述筆記してもらいました。完成した『書いてはいけない』で、私は「ジャニーズの性加害」「財務省のカルト的な財政緊縮主義による国民の洗脳」、そして「日本航空123便墜落事故の闇」という日本の3つのタブーに切り込みました。

私がメディアに出演しはじめて四半世紀が経ちます。私はコメンテーターの役割を「本当のことを言うこと」と受け止め、仕事をしてきました。

しかし現場では政権やテレビ局に都合がよく聞こえのいい発言をする識者が重宝されます。逆に、本当のことを言えば、疎まれ、干されてしまう場合もあります。近年、この傾向が顕著になってきました。2〜3年前ですが、あるテレビ局のプロデューサーに「本当のことを言うコメンテーターは使わない」と直接言われ、唖然あぜんとした覚えがあります。実際、本当のことを書いた『書いてはいけない』は、発売3カ月で24万部を超えるベストセラーになったにもかかわらず、大手メディアからは軒並み無視されました。