最新支持率はハリス44%、トランプ42%
バイデン大統領(81)が不出馬表明して、カマラ・ハリス副大統領が民主党の大統領候補になる見通しだ。私は、4年前に「カマラは将来、大統領になる可能性が半分くらいはあるから日本人は対策を立てておくべきだ」と予言していたから、悪い見通しでなかった。
バイデンがそのまま立候補していたら、支持率でトランプと3~4ポイントくらい差がついていただろうし、7月の銃撃事件で強運を見せたトランプに対して差が縮小する要素は少ないため、7~8割の確率で「トランプ復帰」という見通しだった。
しかし、バイデンが選挙戦から撤退し、民主党の有力者が相次いでハリス支持を表明したことから、バイデンのときよりは差が縮小している。ロイター通信が7月22、23両日に実施した世論調査では、カマラの全米支持率が44%で、トランプの42%を上回ったと話題になった。
一方、Polymarket(ポリマーケット)という、仮想通貨を使ったプラットフォームでの掛け率だと、トランプ勝利の予想が54%でカマラが44%である(8月2日時点)。
総得票数が多い候補が勝つとは限らない
私はアメリカの歴代大統領と大統領選挙についての歴史本を3冊書いたことがあり(4年前のものが『アメリカ大統領史100の真実と嘘』扶桑社新書)、選挙制度や歴史的事情を考慮しての大統領選挙の考察は得意だ。
その経験からすると、カマラは全国で3%くらい多く得票しないと、トランプに勝てないのだ。2016年の選挙で、ヒラリー・クリントンはトランプより2.1%多く得票したが、敗れているのである。
これは、米国の大統領選挙が州ごとに投票を行い、1票でも多いほうが人口などに応じて割り当てられた「選挙人」を総取りする仕組みだからだ。そして全米合計538人の選挙人のうち、過半数の270人以上を獲得した候補が次期大統領となる。そのため、民主党がカリフォリニア州やニューヨーク州で大勝して、総得票数では勝っていても、選挙人の数で負けるということが起きてしまうのだ。