ユダヤ人の夫と「トランプの右腕」の妻
そして、ハリス氏の戦いに影響を及ぼす可能性がある2人の人物がいる。ひとりは、夫のダグ・エムホフである。ドイツ東欧系ユダヤ人で、ニューヨーク生まれ。ハリウッドでエンターテインメント訴訟弁護士として成功している。
カマラはガザ地区でのイスラエルの暴虐に一線を引いているが、エムホフは反ユダヤ主義に反対する活動をしており、パレスチナ寄りではない。また、単独で韓国の尹錫悦大統領就任式に米国代表団として出席するなどしており、政権内で一定の役割を果たすだろう。
もうひとりは、共和党の副大統領候補であるバンス上院議員の妻ウーシャである。カリフォルニア州サンディエゴでインド移民の親のもとに生まれ育った。イェール大学で歴史学を学んで首席で学士となり、オックスフォード大学で近世史の修士、イェールに戻ってロー・スクールに通っているときにバンスと出会った。
「インド系」の今後を占う選挙でもある
連邦最高裁長官のスタッフなどを務め、サンフランシスコに本拠を置く弁護士で、法律家としてカマラよりかなり上位だ。中国広州の大学で米国史を教えていたことがある。熱心なヒンズー教徒で、カトリックに改宗した夫に大きな影響力を持つ。演説も上手であるし、対ハリス戦略は彼女が担当し振り付けるだろう。
彼女の祖父は、いまやMITを上回る名門校といわれるインド工科大学チェンナイ校の物理学教授だった。父はサンディエゴを本拠とする機械工学研究者で、母は生物学者である。
研究者一家で育ったインド系女性として、カマラとは共通点が多い。今回の大統領選はだれが大統領になるのか、と同時にインド系米国人が政界でどこまで存在感を発揮するかも占う選挙になりそうだ。