ずるずると悩むのは、人生の大いなるムダ

「しょうがない」と割り切る――人生の要諦は「反省すれども、後悔せず」

あなたの性格は、どちらかというと悲観的ですか、それとも楽観的ですか――。

何か新しいことを始めようとするとき、大切な仕事で厳しい状況に立たされたとき、あるいはミスをしてしまって謝罪に向かうときなどに、良くない結果になるのではないかと悲観的に考えるでしょうか。それとも、「なるようになるさ」と楽観的に立ち向かうことができるでしょうか。

もちろん、楽観的に考えられる人のほうが、人生は生きやすいと思います。

悲観的な人は、ものごとを引きずりやすい人です。真面目に生きている人ほど、引きずる人が多いようにも感じます。

「なぜ、これを始めなければならないのだろうか」、「なぜ、苦境に立たされたのだろうか」、「なぜ、あんなミスをおかしてしまったのか」――。

もう決めてしまったこと、過ぎ去ってしまったことは変えることはできません。「なぜ」、「どうしよう」と頭の中で考えても堂々巡りです。ずるずると悩むのは、人生の大いなるムダと考えて、割り切ってしまうことも大切です。

「反省すれども、後悔せず」が人生の要諦です。

楽観的に生きるコツは、「こうだったらいいな」と考えることです。

「あれを始めて、みんなに喜んでもらえるといいな」
「ここで踏ん張って、乗り越えられるといいな」
「すぐに謝罪に行って、誠意が伝わるといいな」

といった思考です。そうすれば、結果はどうあれ、前向きに半歩でも一歩でも進むことができます。

悲観的に考え、楽観的に実行する

「チャンスが来なかったからしょうがない」
「今回は不運だった」

たとえうまくいかなくても、楽観的に「しょうがない」と割り切って次に進むことは良いことです。

しかし、それは事前の準備や努力があったからこその割り切りでなければ意味がありません。努力した上での割り切りには、納得感があります。

いっぽうで、悲観的な思考がすべて否定されるかといえば、そうとは限りません。

悲観的な人は、ものごとを慎重に考えるという長所があります。見切り発車をしないので、大きな失敗をしづらいでしょう。また、慎重な言動をとることは、自己防衛力が強いともいえるでしょう。

枡野俊明『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』(クロスメディア・パブリッシング)
枡野俊明『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』(クロスメディア・パブリッシング)

前述した起業家の稲盛和夫さんは、「楽観的に構想し、悲観的に考え尽くし、楽観的に実行する」という言葉を残しています。

新しいことを始めるときは、「こうなったらいいな」と夢と希望を持って構想します。そして計画の段階では、「万が一、こんなことが起こるかもしれない」と不測の事態まで徹底的に考え抜き、何度も対応策を見つめなおします。いよいよ実行する段階では、「必ずうまくいくさ!」と自信を持ち、明るく取り組むのです。

悩む前に、今できること、やるべきことをしっかりやっていれば、楽観的になれます。そして、たとえ失敗しても「しょうがない」と割り切ることができます。

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