いいお金の使い方とは何か。わかさ生活 執行役員専務の松浪宏二さんは「私は自分だけの食事の際には私たちと同じようなリーズナブルな飲食店に行く社長の姿を、何度も目にしてきた。天才にとって、自分のためだけになるお金は『死に金』で、お金そのものの価値ではなく、人のために使うお金が『生き金』である」という――。

※本稿は、松浪宏二『超一流の凡人力』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

実業家の手にお金
写真=iStock.com/Atstock Productions
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自分のためだけになるお金の使い方は「死に金」の一つ

お金への考え方も、天才と凡人では大きな違いがあります。

会社に最終利益が潤沢に残った年に「ベストな利益の使い道は何か」を幹部社員で話し合ったことがあります。私は金融業界で長年働いていたこともあり、また、資産運用は一般的な使い方であることから、「投資」を提案しました。会社のためにも、この機会に資産運用に力を入れるのは大切だと考えたからです。

しかし、会社としての判断は違いました。

「今よりお金が欲しいわけではない。生きたお金の使い方をしたほうが良い」ということになったのです。

金融や投資の世界では「生き金」「死に金」という言葉があります。「生き金」は新たな価値を生み出すものを指し、「死に金」は一時の欲望は満たしてくれるかもしれないが未来につながらない、一過性のものを指します。そして、金融業界から見たら投資に回すことは「生き金」で、ポジティブな意味合いを持つのです。

天才にとって、お金を増やすためだけの投資は「死に金」。そして、天才にとっての「生き金」は、お金そのものの価値ではなく、人のために使うお金のことを指します。

事実、創業社長として一代で会社を大きくしたにもかかわらず、自分だけの食事の際には私たちと同じようなリーズナブルな飲食店に行く社長の姿を、何度も目にしました。自分自身には、驚くほどお金をかけないのです。

自分のためだけになるお金の使い方は、特に意味がない「死に金」の一つだからでしょう。だから、資産を増やしたり守ったりするだけの運用には意味がないと考えているのです。

それよりも、「どう使えば周りの人が幸せになるのだろう。良いことが起こるのだろう。未来につながるのだろう」という観点を、常に大切にしているように思います。

ですから、投資すべてが「死に金」というわけではありません。「未来のため」や「人のため」の投資は「生き金」と考えます。