「応援したい」対象には、一切お金を惜しまない

例えば、頑張っている人への投資は「生き金」です。

弊社では一定の評価制度を設け、その項目に基づいて毎月の総会で社員を表彰する制度があります。「特別賞」「エール賞」「過去最高更新賞」「改善賞」など、できるだけ多くの社員を表彰できるように項目を細分化し、皆がお互いに頑張りを認められる流れを作っています。

そして、給与にインセンティブをプラスして支払うことで、モチベーションにつなげているのです。なかでも「社長賞」は、社長自らが感謝を伝えたい人を選びます。

私自身、過去に三回受賞したことで、より一層「頼りにされているのだ」という気持ちが強まり、「もっと会社のために貢献しよう」と気を引き締めたものです。

また、未来への種まきとしての投資も「生き金」です。

例えば私たちは、視覚障害者のためのアプリを提供している企業に協賛しています。

この企業が成長したらリターンが返ってくるだろうなどという気持ちは一切なく、目が見えなくても不自由なく、どこにでも移動できる社会の実現を目指す考えに、純粋に心から共感しているからです。

お金持ちに扮した少年
写真=iStock.com/RichVintage
※写真はイメージです

お金を増やすためではなく「目指す未来が自分たちと似ている」とか「応援したい」といった気持ちからくる投資には、このように一切惜しまないのも天才の特徴だと思います。

天才は、お金をただ持っているだけでは何も生み出さないことを知っています。だから、投資に回してお金を増やすことに力を入れるよりも、使うことで何かを生み出すことを重要視します。「せっかくだから大事に取っておかなければ」なんて考えないのです。

天才の意見は「朝令暮改」

朝令暮改とは、命令や法令、方針などが一貫せずに、朝に言ったことが夕方には改められ、定まらないこと。

本来の「朝令暮改」は、一般的にはネガティブな意味合いを持っています。「社長は方針がころころと変わるから、そのたびに現場が振り回されて困ってしまう」という嘆きの声を聞いたことが、私もあります。

たしかに、朝に「この案件はAで進めてほしい」と指示をされた通りに動いていたのに、夕方になって「Bにしよう」と言われたら、困る人も多いでしょう。

しかしビジネスは生きもので、状況は刻一刻と変わります。真剣に考え続けていればいるほど、思考は進化していくものです。

社会情勢も何もかも、状況は目まぐるしく変転し、もはや誰にも予測できないことが日々起きています。時代や潮流に乗っているだけでは生き残れないと言っても過言ではありません。

つまり、朝令暮改にならないよう「一度決めた方針だから変えるわけにはいかない」と頑なに守り続ける姿勢よりも、臨機応変に、柔軟に対応し、行動できる姿勢のほうが求められているのではないでしょうか。