脳の老化を遅らせるには何をすればいいか。医師の和田秀樹さんは「認知症を進行させる脳の老廃物を排出するには、一日に7〜8時間の睡眠をとることが効果的だ。しかし無理に眠ろうとすると逆効果である。眠れないというストレスがかえって体に悪影響を及ぼす。私はベッドにいる時間は7〜8時間とっているものの、夜中に3〜4回目が覚めて睡眠時間は十分とは言えないため、1時間の昼寝をしている。医学的には20分程度の昼寝が良いと言われているが、自分の感覚を重視して『ま、いいか』と思うようにしている」という――。

※本稿は、和田秀樹『みんなボケるんだから恐れず軽やかに老いを味わい尽くす』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

ベッドサイドのテーブルに置かれた目覚まし時計
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テレビの前でうなずく毎日ではボケまっしぐら

テレビはつまらない常識的なことしか言いませんから、そればかり見ていると、前頭葉が働かずバカになります。コロナのときみたいに偏った情報を流すために不安が募り、そのストレスが前頭葉に悪影響を及ぼします。

白黒をつけたがるのもテレビの特徴で、世の中はグレーなことだらけなのに、「敵か、味方か」「正義か、悪か」といった観点しかない。こういう二分割思考は、もっとも前頭葉に楽をさせる思考パターンといわれています。

つまり、日がな一日、テレビの前に座って、「なるほど、なるほど」とうなずいていたら、ボケの道まっしぐらなわけです。

私がテレビを批判する理由の一つは、高齢者をバカにしているところがあるからです。

高齢者は時代劇しか見ないとか、高齢者は夜まで起きていないと思っているから、夜の11時以降は若者向けの番組しかやっていない。

いまは、YouTubeやNetflixなどの配信サービスを利用すれば、テレビでいろんな種類の娯楽、つまり映画とか昔の漫才とかを視聴できますから、テレビはそうやって使ったほうがいいでしょう。

テレビでも、ごくたまに良質のドラマやドキュメンタリーを放送していますから、見ないほうがいいとまでは言いません。

しかし少なくとも、流される情報を鵜呑みにせず、反射的に疑ってみるクセはつけたほうがいいと思います。