70代になり人生を楽しむには何をすればいいか。医師の和田秀樹さんは「自由な時間がたっぷりとあり、子どものときのように無邪気に楽しいことだけを追いかけられるのは、老いの特権だ。『自撮りのキミちゃん』こと西本喜美子さんは、70歳を過ぎて写真のおもしろさに目覚め、やがて自撮りの楽しさにのめり込んだ。デイサービスに通いながら、いまも精力的に創作活動を続け、写真教室の友人たちとバーでおしゃべりを楽しみ、お酒もタバコもたしなみ好きなことを目一杯楽しんでいる。夢中になっていると、あっという間に時間が経ってしまうそうだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『みんなボケるんだから恐れず軽やかに老いを味わい尽くす』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

スマートフォンを使うシニア女性
写真=iStock.com/omasz Szumski
※写真はイメージです

楽しいことだけしていいのが「老いの特権」

70歳にもなれば、もう自分を束縛する組織もないし、子どものためといった義務や責任もありません。仕事の成果とか昇進とか家のローンとか教育費とか、一切考えなくていいのです。

老いは、これまで自分を縛ってきたほとんどの役割から解放してくれて、自由な時間をたっぷりと与えてくれます。その自由をとことん楽しんでいいし、それが許される年齢なのです。

自分の年齢を意識するとしたら、「そうか、もう何をやってもいい年なんだ」と自由になれた解放感を存分に味わえばいい。

そして、自分のやりたいことをやる。体さえ元気なら、好きなときに好きな場所に出かけることもできます。何もしたくなかったら日がな一日、のんびり過ごしても誰の迷惑にもなりません。

しかも自分が楽しければ、それでいいのです。たとえば楽器一つでも、若いうちは「もっと上達したい」とか、「あいつよりうまくなりたい」とか、「ほめられたい」とか、どこかで意識していますから、心の底から楽しめません。

時間のやりくりも大変ですから望んだほどの上達も成果もなければ、続ける気力がなくなります。

しかし、老いてしまえば、そんなことはどうでもよくなります。下手の横好きだろうが何だろうが、自分が楽しければそれでいい。子どものときのように無邪気に楽しいことだけを追いかけられるのは、老いの特権です。

そして、もし飽きたらやめればいいだけのことです。そういう気楽さがあるせいか、年を取ってから始めたことは案外、長続きするものです。

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