70歳を過ぎて自撮りの楽しさにのめり込んだ「キミちゃん」

「自撮りのキミちゃん」こと西本喜美子にしもときみこさんは、70歳を過ぎて写真のおもしろさに目覚め、やがて自撮りの楽しさにのめり込みました。

自撮りをするシニア女性
写真=iStock.com/michellegibson
※写真はイメージです

パソコンも習って、写真を自分で加工し、ユーモラスな写真を次々とネットで公開しています。

2023年、『94歳、自撮りおばあちゃんやりたい放題のひとり暮らし』(宝島社)というエッセーを出していますが、インスタグラムのフォロワー数は36万人(2024年1月22日時点)を超えたそうです。

デイサービスに通いながら、いまも精力的に創作活動を続け、写真教室の友人たちとバーでおしゃべりを楽しみ、お酒もタバコもたしなむようです。

喜美子さんの言葉がふるっていました。

「好きなことばかりしよったら、年も忘れてしもた」

高齢になっても、やはり好きなことに熱中できるのは、楽しくてたまらないものなんだろうと思います。そして夢中になっていると、あっという間に時間が経ってしまう。

童心に返る、というのはこういうことを言うのでしょう。

何の楽しみもなく、ただボケて過ごす人生にはしたくないと誰でも考えるはずです。そうならないために準備を始めるのは、いまです。

子どもの頃に好きだったことを再開してみるのもいいし、やったことがないことでも、おもしろいかもしれないと思ったら、とにかく乗ってみる。つまらないと思ったらやめて、また次を探せばいい。

どんなことでもいいのです。何かを始めるのに遅いということはありません。

定年退職で人生の答えを出すのは早すぎる

いま、自分の人生を振り返って、どう思われますか?

半世紀近くも勤め続けて、子どもも一人前に育て上げ、家のローンも完済し、とにかく無事にこの年までやってこられたのだから、自分の人生は上出来だと思っていらっしゃるかもしれません。

あるいは、もっと自分のやりたいことをやってもよかったんじゃないか、と不満を抱えておられるかもしれません。

しかし、満足であれ不満であれ、答えを出すのはまだ早すぎます。これから先もまだ長い人生が残っているからです。

少し前までは定年退職というと60歳でしたが、2021年4月から、いわゆる「70歳就業法」が施行され、定年が引き上げられて、多くの人が70歳まで働けるようになりました。

年齢別に見ると、65〜69歳の就業率は10年連続で伸びており、2021年には50%を超えています。

これは、2012年から人口の多い団塊の世代が65歳を超え始めたこと、「人生100年時代」といわれるように平均寿命と健康寿命が延びる一方、少子化で若い世代の働き手が減少しているなど、さまざまな理由が考えられます。