AIではなく、遠隔地に住む人間が対応

アメリカで登場した「リモートレジ」が話題を呼んでいる。レストランで食事を終えてレジへ向かうと、レジに係員はいない。代わりにディスプレイが据え付けられており、アメリカ国外にいる係員が画面内に登場する。

係員はビデオ会議越しに、支払い方法の説明や質問への対応を担当。顧客は電子決済で支払いを済ませる。人件費の高騰を受け、フィリピンの人材を安価に活用する方法として注目されている。

コールセンターで対応する人々
写真=iStock.com/eyesfoto
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ニューヨーク市のクイーンズ区でからあげなどを振る舞う和風レストラン「サンサン・チキン」は、リモートレジを導入して話題を呼んでいる。ニューヨーク・タイムズ紙が店舗を訪れると、入り口に設置された画面越しに、フィリピンに住むバーチャルアシスタントが笑顔で迎えた。

バーチャルアシスタントはAIの映像などではなく、遠隔地に住む人間のスタッフだ。訪れた顧客を案内するほか、フードデリバリーの注文対応、電話応対、ネットに投稿されたレビューの確認などを行う。物理的な金銭の授受が必要となることから、現金払いにこそ対応できない。しかし、現地ですでに浸透しているキャッシュレスでの支払いなど、レジ周りの業務を幅広くこなす。

同紙によるとバーチャルアシスタントは今年4月時点で、同店のNYクイーンズ店やニュージャージー州のジャージーシティ店で導入されているほか、系列のサンサン・ラーメンや、中華料理店のヤソ・キッチンでも試験的に利用されている。ほか、ロングアイランドで少なくともこれ以外の中華料理店2店舗がこのサービスを導入している。昨年10月からテスト導入が始まった。

レジだけでなく、各テーブルでもリモートで接客

電子通信の専門メディアである英「UCトゥデイ」は、こうしたバーチャルアシスタントは入り口だけでなく、店舗によってはテーブルに備え付けのタッチスクリーン式注文端末にも登場する、として取り上げている。

通常のレストランでは、注文に迷った場合、店員をつかまえておすすめを聞くことがある。とはいえ、注文や配膳で多忙にしている場合、気軽に声を掛けづらいこともあるだろう。バーチャルアシスタントの場合、画面越しのバーチャルアシスタントを呼び出し、気軽に質問をすることができるメリットがある。