客、店舗で働く従業員にも大きなメリット
運営元のハッピー・キャッシャーも、サービスに自信を示しているようだ。創業者でCEOのチー・ジャン氏は、 「ハッピー・キャッシャーのスタッフは完璧な英語を話しますし、Uber Eatsの電話注文を受けることもできます」とフォーチュン誌に語る。
「店内で働いている従業員が注文を調理している間にも、(バーチャルアシスタントが)顧客の質問に答えたりすることで、従業員の対面対応の負担を軽減します。ハッピー・キャッシャーを導入したことで、店舗の運営効率が向上しています」
米パデュー大学のモハンマド・ラフマン教授(経営学)は、フォーチュン誌の別の記事のなかで、バーチャルアシスタントは運営合理化の「スイートスポット」を突いていると語る。
「労働コストを節約しながらも、(タッチパネルなどの)フルに自動化されたセルフサービス端末ではなし得ない、問題解決能力と温かみを提供していると言えるでしょう」
「楽しい」「何これ?」割れる利用者の反応
画面越しの接客は新鮮だが、利用者のなかにはすでに気に入ったと述べる人々もいる。メトロノース鉄道で車掌を務める34歳のダン・オキーフ氏は、ニューヨーク・ポスト紙に対し、「楽しいと思いましたよ」と利用体験を振り返る。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙は、Googleで元M&Aを担当していたテック系起業家のブレット・ゴールドステイン氏の意見を採り上げている。
彼は1万3000キロ以上離れたフィリピンからの接客に「正気の沙汰ではない」と驚きつつ、「ニューヨークのどの対面式のレジ係よりも」フレンドリーなサービスを受けられたと称賛した。セルフサービスの端末で注文した際、バーチャルアシスタントは常に付き添ってシステムの操作を代行し、質問があればすぐに対応してくれたという。
だが、画面越しの対応とあって、さすがに戸惑いを覚える顧客も少なくない。サンサン・ラーメンを訪れた25歳女性は、ニューヨーク・タイムズ紙に、リモートレジと関わりたいとは思わなかった、と語る。画面内から「こんにちは」と語りかけられたが、「何だこれ?」と思った彼女が返事を返すことはなかった。
同店を利用した別の顧客は、「物理的にそこにいないと、人とのつながりを失うと思います」とニューヨーク・ポスト紙に述べている。ブロンクスのある教師は、「人間の対話の方が、ビデオ通話よりもはるかに良い」と否定的だ。