※本稿は、安廣重伸『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「天職」と言える3つの条件
「そもそも、天職って一体どんなもの?」
こんなふうに疑問を持った方もいるかもしれません。一般的には「天の神様から授けられた仕事」などと言われていますが、やや漠然としています。
本書(『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』)のテーマは「天職の見つけ方」ですから、最初に「天職とは何か?」について、明らかにしておきたいと思います。ここでは、私が数多くのクライアントさんと接する中でたどり着いた「天職の定義」をご紹介します。私が考える天職は、以下に挙げる3つの条件を満たした仕事です。1つずつ、解説しましょう。
条件① 最低限の収入(=物理的な豊かさ)が得られる仕事
条件② 没入感(=マインドフルネス)と充足感(=精神的な豊かさ)が得られる仕事
条件③ 他者貢献の充実感(=自分の存在意義)が感じられる仕事
「生きていくために必要な報酬」を得られることが「最低条件」
言うまでもないことですが、天職は「仕事」ですから「生きていくために必要な報酬」を得られることが「最低条件」です。どんなに自分が得意で好きなことでも、それで生計を立てられなければ、天職からは除外されてしまいます。
一例として「特技=歌うこと(カラオケ)」の男性を取り上げて説明しましょう。彼は、一定レベル以上の歌唱力があり、周りの友人からも「うまいね」などと、褒められていたとします。そこで彼は「カラオケで褒められているから、歌手としてメジャーデビューしたい」と考えるかもしれません。
もしも、プロの歌手になろうとするならば、ボイストレーニングなどの地道な努力に加えて、人の心に響く表現力や、ステージに響き渡る声量、幅広い声域などが必要になるでしょう。もっと言えば、人々の感情を揺さぶる声質や、人を引き付ける人間性も必要だったりします。
このように、プロの歌手になろうと思った場合は、地道な努力と天性の才能が必要です。裏を返せば、これらの要素が満たされていれば、プロの歌手として活躍できるはずです。
その際、生活費を稼げるくらいの人気があるならば、その仕事は「天職」と考えていいでしょう。たとえば、この男性の生活費が「月20万円」で、歌手の活動で月収20万円ほど稼げるようになれば、その仕事は天職です。