本当に好きな仕事なら、すぐに稼げなくても続けてみるのも手

ここで補足として1点、知っておいてほしいことがあります。それは「本当に好きな仕事なら、すぐに稼げなくても続けてみるのも手」ということです。

つまり、好きな仕事なら、満足に生活費が稼げないからといってあきらめず、自分の可能性を信じて、鍛錬を続けるのも“1つの道”ということです。職種によっては「下積み時代」というものが存在します。たとえ天職だとしても、すぐに結果が出るとは限りません。

先ほどの例で言えば、歌手は長い下積み時代を経るケースが多いと言えます。一例として、歌手のLiSAさんが挙げられます。

LiSAさんと言えば、アニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」や「炎」などの大ヒットによって、その名が広く知れ渡るようになった日本を代表する歌手です。彼女は2008年の冬に、21歳で岐阜県から上京しましたが、なかなかヒットに恵まれなかったそうです。

6畳ほどのワンルームには、家具家電が一切なく布団だけ。唯一のごちそうは、100円ショップで売られている瓶詰のなめ茸だったとか。そんな生活を送っていたLiSAさんが、約10年後、日本を代表する歌手の1人になるなんて、本人すら想像しなかったのではないでしょうか。

しかし、LiSAさんが自身の才能の開花をひたむきに信じ、才能をみがき上げ、地道にボイストレーニングを行い、あきらめずに努力してきたからこそ、歌手として大成功を収めることができました。

時間を忘れるほど没頭できるか

このように、本当に自分が好きな仕事ならば、時間がかかっても投げ出さず続けることで、道が開かれることも少なくありません。むしろ、99%の人が途中であきらめる中で、投げ出さないことこそが才能と言えるのです。

歌手のように、天職と言える域まで達するのに時間がかかる仕事は、世の中にたくさんあります。だからこそ、あなたが本当に好きな仕事ならば、すぐに稼げないからといってあきらめず、副業や趣味で続けながら、天職として花開くときを待ってみるのも1つの手だと、私は考えています。

「生活のための報酬が得られる」だけでは、天職としては不十分です。天職は、自分の人生を実り多き豊かな人生に導くために存在しているからです。この点は、天職の定義として、特に強調したいポイントです。

楽しくて時間が経つのを忘れるくらい「没頭」でき、幸せな気持ちで満たされるような仕事を探してみてください。つまり、「没入感(=マインドフルネス)」や「充足感(=精神的な豊かさ)」が得られる仕事であることが、天職の「2つ目の条件」です。

ビル街で喜ぶビジネスマン
写真=iStock.com/Drazen_
※写真はイメージです

ちなみに、ここでいう没入感=マインドフルネスとは「今、この一瞬、一瞬に集中している状態」のことを指します。スポーツの場面では「ゾーン」や「フロー状態」と表現されます。天職かどうか判断する際、必ず確認してほしいのが「マインドフルネスになれる仕事かどうか」です。

マインドフルネスというと「禅とかで言われる『無の境地』でしょ? それって難しくない?」などと言われることがあります。しかし、マインドフルネスは、無心になることではありません。何か1つのことだけに没頭したり、集中したりする状態を作ることです。