ディーラーローンより銀行ローンの方が金利は低い

畠山さんへのアドバイスの前に、まずは、自動車ローンの種類についてご説明したいと思います。自動車ローンには大きく分けて、「銀行ローン」と「ディーラーローン」の2種類があります。「マイカーローン」などと呼ばれる銀行ローンの一番のメリットはずばり、金利が安いこと。メガバンクやネット銀行といった金融機関や借入金額、借入期間によっても違いはありますが、平均して3~4%という低金利でローンが組めることが、その最大の利点です。畠山さんがディーラーローンのキャンペーンでも6%の金利だったことを鑑みると、その差がわかりますよね。一般的に、ディーラーローンは、平均で金利8%ほどといわれています。

また、所有権にも違いがあります。銀行ローンの場合、所有権は購入者にありますが、ディーラーローンの場合は所有権がディーラーにあるため、ローン完済までは売却や譲渡・下取りなどができませんので、注意が必要です。

一方で、審査については、ディーラーローンの方に柔軟性があります。畠山さんは銀行ローンの審査に落ちてしまいましたが、転職直後の場合、銀行ローンは審査が通りにくいと言われています。方や、ディーラーローンは審査のハードルが低く、最短で購入当日、ローン審査まで終了することも。最大1週間ほど審査期間を要する銀行ローンと比べ、ディーラーローンは申し込みに関する事務手続きや期間が大幅に短縮できます。

おもちゃの車と電卓と積み上げたコイン
写真=iStock.com/Jinda Noipho
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「残価設定型クレジット」のメリット・デメリット

さらにディーラーローンの一種として利用者が増えているのが、「残価設定型クレジット」こと、通称「残クレ」です。これは、車のローン返済時における価値をあらかじめ設定し、その分を差し引いた金額分だけローンを組む、という方法です。たとえば200万円の車を残クレで購入する場合、ローン完済となる5年後の価値を50万円とみなし、残りの150万円分でローンを組むということ。つまり、普通のローンに比べて月々の返済額が軽くなるので、購入時のハードルがグッと下がるわけです。

お得に見える残クレにも、注意点があります。先程の例で、5年かけて150万円のローンを完済しても、残価の50万円を一括で支払わなければ、購入者の所有物とはなりません。一括返済できない場合には再クレジットでの分割払いとなり、その際の金利はディーラーローンの金利と同じくらいになることが多いそう。また、残価の支払いをしない場合は、ディーラーに車を返却するか、買い替える必要が。返却の際にも、規定の走行距離をオーバーしてしまったり、傷や凹み、カスタマイズなどがあると、追加料金が発生する可能性も。残クレを利用して「案外使い勝手が良くなかった」という人が一定数いるのは、車を楽しむ際、さまざまな制約がかかるからかもしれません。