生活水準を上げるに伴って出費がよりかさむ理由

ところが多くの人は収入が上がると、それがずっと続くと過信して、生活水準を上げてしまうのです。

生活水準を上げると連鎖的に出費が増えます。僕はそれを「伴う理論」と呼んでいます。

たとえば家賃を上げて広い家に引っ越すとします。するとそれに見合う高価な家具、ソファやテーブル、タンスなどのアイテムをそろえたくなります。広くて余ったスペースに絵を飾ったり、置物を置きたくなります。

次はそれに見合った車が欲しくなります、車を買うと駐車場代、ガソリン代、保険、税金などの維持費がかかります。

さらに「素敵な家」「素敵な車」に見合う自分になりたいという欲求が高まって、服装、車、時計、アクセサリー、美容など外見にお金をかけるようになります。

これが「伴う理論」です。「ひとつ買っただけ」と思うかもしれないけれど、その一つの支出が次の支出を呼んでしまいます。そうなると元の生活水準に戻るのは容易なことではありません。僕はそれをとても恐ろしいことだと思っています。

1億円なんてあっという間になくなる

僕が知る限り、事業で失敗する人はほとんどが生活水準を上げてお金を使いきってしまったことによる「自滅」です。

事業がうまくいって、純遺産1億円を持てたAさんとBさんという2人がいたとします。

Aさんは以前と変わらず家賃10万円の家に住み、投資信託などで資産運用をして生活費を上げることなく地道に暮らしています。

一方Bさんは高級車を買って、家を買って、生活水準を上げてしまい。1億円を使い切ってしまいました。

この2人ともずっと事業が順調ならいいのです。問題は事業が傾いたとき、失敗したときです。1億円のほとんどが残っているAさんはそのお金を使って復活することが可能です。しかしBさんはここで復活ができません。

手元にお金があると感覚がマヒしてきます。いったん生活水準を上げてお金を使い始めるとキリがありません。そしたら1億円なんてあっという間になくなります。

それを考えるとどれだけ成功しても生活水準を一定に保ち、復活できる資金を用意しておくことが何よりも大事だと思うのです。