お客にとっての一番の喜びは「安さ」
私たちは人の役に立つことで、この世界とつながり、調和していくことができます。みんなが幸せになるから、あなたも幸せになり、人生もビジネスもうまくいく、というわけです。
サイゼリヤは、昔から「人に一番喜んでもらえることをしよう」という気概でやってきました。「一番儲かることをしよう」ではありません。
では、お客様の立場で考えたときに、一番喜んでもらえることは何でしょう?
それは「安さ」ではないでしょうか。もちろん、安くてまずいなら、当たり前。安いのに、おいしい。このおいしさで、この価格なら、大満足!
誰でもお財布を気にせず、お腹いっぱい食べて、飲んで、仲間たちと語らって、「ああ、楽しかったな」と満足して帰ってほしい……。そのために私は努力をしてきました。
サイゼリヤは、創業期の「7割引き」から始まり、断続的に値下げをしてきました。
原材料費が高騰していても、サイゼリヤはほとんど値上げはしていません。むしろ値下げした商品もあるくらいです(もちろん、味も日々改良しています)。
さほど売れないものを安くするのは、比較的簡単です。一方で、すでに何度も値下げと改善を経てきた人気商品を、さらに安く、おいしくしていくのは簡単ではありません。
しかし、これが最もお客様に喜ばれるのです。
「ミラノ風ドリア」の誕生秘話
サイゼリヤで最も売れている人気商品「ミラノ風ドリア」をご存じでしょうか。300円というお値打ち価格で、長年愛され続けている看板商品です。
そのルーツは1970年頃の従業員のまかない飯にまでさかのぼります。ライスの上にホワイトソース、ミートソース、粉チーズをかけたものを、常連客から「自分も食べたい」と要望されたのが誕生のきっかけ。
当初は裏メニューでしたが、あまりに評判が良いので定番メニューに昇格。480円で販売されるようになり、大人気商品に育ちました。
そして1999年11月。上場を機に290円に値下げしたところ、さらに爆発的人気となりました。