サイゼリヤ創業者の正垣泰彦会長は、看板メニューのミラノ風ドリア(300円)について「高くてまずい」と真剣に悩んでいるという。一体なぜなのか。正垣会長の著書『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』(KADOKAWA)より、一部を紹介しよう――。
サイゼリヤの料理はどれもまずくて高い
「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」
私がそう言うと、皆さんとても驚きます。最初は冗談と受け取る方もいるようですが、そんなことはありません。私は大真面目に、本気で「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」「あんなまずいものを出してしまって、お客様に申し訳ない」と言っています。
その気持ちに嘘も偽りもありません。
安くておいしい料理を提供することで、日本中、世界中のすべての人に、豊かな食を届けたい。みんなに幸せになってほしい。そう願いながら、私は60年間走り続けてきました。
おかげさまで「安くておいしい」と評価していただけるようにもなりました。2024年2月現在、ミラノ風ドリアは300円、グラスワインは100円です。
究極の理想は「タダにすること」
でも私に言わせれば、まだまだです。
価格でいうと、理想はタダにすること。
寄付とボランティアに頼った無料食堂を運営することも、実は可能です。興味のある方は、『聖者たちの食卓』(2012年)というインドの寺院が舞台の映画を観てみてください。
しかし無料では会社を成長発展させられず、世界中の人に料理を届けられません。そのためサイゼリヤは、あくまでビジネスとして、お客様に納得してもらえるお金をいただいて料理を提供しています。
私が言いたいのは、お金をいただくにしても、まだまだ安くできるはずだということ。味についても、もっとおいしくできるはずです。