日本最強のコンビニはセブン‐イレブンだが、北海道だけは地元のコンビニ「セイコーマート」にかなわない。物流コンサルタントの角井亮一さんは「セイコーマートと、大手コンビニとの間には、同じコンビニ業態でありながら、店舗展開や運営方法の考え方に大きな違いがある。だからこそ、北海道の人たちに支持されるのだろう」という――。

※本稿は、角井亮一『最先端の物流戦略』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

セイコーマート 浜頓別店
セイコーマート 浜頓別店(写真=松岡明芳/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

北海道は「コンビニの重要度」が違う

北海道は人口10万人あたりのCVS(コンビニエンスストア)店舗数が全国の都道府県でもっとも多いところです(図表1参照)。言い換えると、それだけコンビニに頼っている人が多い、ということにもなります。

【図表1】都道府県別10万人あたりのコンビニ店舗数

ただし、1位の北海道、2位の山梨県と、3位の東京都ではそれぞれ事情が異なります。北海道は広大な面積の中でコンビニも人も点在し、山梨県は山地部分がほとんど(9割近くが山地面積)を占め、限られた生活圏にコンビニが集中しているのに対し、東京都の場合はほぼ平地ですから、どこに行っても少し歩けばコンビニは選び放題です。

生活の中でのコンビニの重要度(コンビニがないと生活に影響が出るところと、日常の利便性を高めているところ)が違うのです。

ご存じの方も多いと思いますが、北海道のコンビニと言えば、セコマグループが展開する「セイコーマート」です。老舗酒類卸丸ヨ西尾の社員だった赤尾昭彦氏が、規制職種として守られていた、得意先の酒店を近代化し存続させる支援策として立ち上げたもので、1971年8月に出店した「コンビニエンスストアはぎなか」がその1号店です。セブン‐イレブンの1号店、豊洲店の出店(1974年5月)より3年も早いことになります。

大手他社とは違う店舗展開や運営の方法

このセイコーマートと、大手コンビニ3社とを比較したのが図表2です。

【図表2】大手コンビニ3社+セイコーマートの比較

これを見れば、いかにセイコーマートが北海道に集中しているか、よくわかると思います。北海道内だけで見れば、もっとも店舗数の多いコンビニがセイコーマートであり、人口減少が急速に進む北海道にあっては、業界トップのセブン‐イレブンでさえ、店舗数を減少させているのに対し、セイコーマートは店舗数を増やしてきています。

このあたりを含め、セイコーマートと、大手コンビニとの間には、同じコンビニ業態でありながら、店舗展開や運営方法の考え方に大きな違いがあります。