大地震でも「インフラ」として役割を果たした
同社が「(40%台後半の)直轄店比率を7割に引き上げたい」と宣言をし、積極的にFC加盟店募集をしなくなったのは、2010年7月のことです。
当時は、加盟店と本部との関係性に変化が生まれてきた頃で、セブン‐イレブン・ジャパンにおいて賞味期限切れ間近の商品の値下げ販売の実施を巡り、公正取引委員会が独禁法違反(優越的地位の乱用)で本部に排除措置命令を出したこともありました(2009年6月)。
ではなぜ、セイコーマートは直轄店を目指すのか。
当時の丸谷智保社長(現会長)は、直轄店のメリットとして「本部の商品戦略が各店に行き届きやすくなり、商品配下率が圧倒的に高まる」と話していました。
もう1つ、直轄店には、臨機応変な対応ができるというメリットもあります。このメリットが大きく効果を発揮したのが、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震(地震の規模はマグニチュード6.7、最大震度7)のときです。
大規模な土砂崩れや地盤の液状化、「ブラックアウト(全域停電)」など、道内に大きな被害をもたらしたこの地震ですが、大手コンビニが生活のインフラ機能としての役割を果たせない状況にある中、セイコーマートでは、ブラックアウト翌朝から、ガス釡を設置していた店舗でおにぎりを販売。具材がなくなってしまった店では、店舗の判断で、通常メニューにはない“塩おにぎり”まで提供していました。
この日、丸谷社長(現会長)は東京にいたそうですが、各店舗での対応を知り、感激していたそうです。
「セブンでもかなわない」顧客満足度
日常生活を支えるコンビニ商品の販売に加え、こうした地域に向き合うさまざまな取り組みなどにより、セイコーマートは“セブン‐イレブンもかなわないコンビニ”と評されることもあります。
その一例に、例年、サービス産業生産性協議会で実施している「顧客満足度調査」があります。その調査において、セコマは過去12年間中11回、コンビニ部門の1位の評価を獲得しています。
現在、セイコーマートは、現社長の赤尾洋昭氏が打ち出した“デイリーユース・ストア”をコンセプトに事業展開を進めています。デイリーユース・ストアとは
・お客さんが買える値段で
・毎日値段を気にせず、美味しく食べられる
・EDRP(エブリデイ・リーズナブル・プライス)
というお店のことです。
では、このデイリーユース・ストアが、どのように利用されているか。2000年からスタートしたセイコーマートのポイントカードのデータによれば、次のようになっています。
売上の約6割がポイントカード利用者によるものです。アプリ会員の場合、月7回の来店が平均です。なかには年間970回来店する(朝、昼、夜、晩酌での利用)熱心なファンもいると言います。