納品後の帰り道でも「空荷」にしない
セコマのここがすごい! ②驚異の「積載率8割以上」を維持
同社の物流体制には、通常の物流視点からはとても信じられない状態が組み込まれています。常時、積載率8割以上を維持できているというのです。
広い北海道では、片道配送(帰りの便が空荷になる)こそが最大の非効率になります。そこで同社では、自前の物流機能とグループ会社の製造機能を組み合わせてコストを吸収し、北海道全域に散らばる店舗に配送する物流システムを構築しています。
たとえば、このようなイメージです(図表3)。
札幌物流センターから稚内物流センターに荷物を転送するとします。帰りの便で、その途中にある豊富町の牛乳工場(豊富牛乳公社)で牛乳の集荷を行い、次に北見市の野菜加工工場から漬物やカット野菜を集荷している旭川物流センターに立ち寄り、旭川物流センター旭川配送センターエリア分の牛乳を下ろし、空いたスペースに漬物・カット野菜を積み込み、札幌物流センターに戻ってきます。
また、帯広、稚内、旭川、函館について、ケース単位での出荷はそれぞれのセンターに保管してあるものを使用しますが、小口の出荷が必要になる場合は、そのピースを札幌と釧路の配送センターから移動させます。在庫を集中して持つ札幌が、その他センターでの端数の扱いをまとめて処理することで、センター業務の効率化にもつながっていると考えられます。
魚は旬の時期に1年分競り落とし弁当へ
セコマのここがすごい! ③自社グループ食品工場の運営
そして、最後に商品の供給体制について話しておきます。
セコマでは、道内21カ所に自社グループの食品工場を運営しています。
道東・根室にある北嶺は、道内6漁港で仲買としてセリに参加することができ、サンマやサケなどを旬の時期に1年分買い付け、主に惣菜や弁当の具材への加工を担っています。
道北の豊富牛乳公社は、1996年に資本参加した株式会社で、自社ブランド用の飲用乳(年間約4500万本)および乳製品を生産するグループの基幹工場。牛乳はOEM【注】(Original Equipment Manufacturer)として道外のチェーンストアにも供給しています。
【注】メーカーが自社ではないブランドの製品を製造すること。