ヨドバシカメラのECサイトは100円以下の電球やボールペンなども送料無料で配達している。なぜヨドバシは送料無料を続けられるのか。物流コンサルタントの角井亮一さんは「ほとんどのサービスは、アマゾンへの対抗意識から実施したので、続かなかった。一方、同社の場合、送料無料の即日配達を続ける根拠が明確にある」という――。

※本稿は、角井亮一『最先端の物流戦略』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

ヨドバシカメラ マルチメディア梅田
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物流崩壊で見直しが進む「送料無料」

ECにおける「送料無料」のビジネスモデルが崩れつつあります。

いまや企業も消費者も「サステナブル(持続可能性)」を考慮しなければならない時代。物流の世界――ECにおける買い物も例外ではないのです。

そうした流れの中、政府主催の「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」では、「物流革新に向けた政策パッケージ」にて、以下の取り決めがなされました。

運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、「送料無料」表示の見直しに取り組む。

しかし、サステナブルと「送料無料」表示の見直しが、どう関係するのでしょうか?

実は、送料無料表示が次のように連鎖して物流崩壊を引き起こす可能性が指摘されています。

送料無料となれば、消費者は配送に関わる人たちへの負荷を考慮せず、気軽に再配達を依頼する。そうした負担が配達業者に蓄積されて物流業界が疲弊し、最終的にはECのみならず、あらゆる業界の持続可能性にも悪影響を与える――。

一定額以上の購入であれば「送料無料」と謳っていた企業も、「送料当社負担」「送料割引」といった表記に改める動きが出てきています。

頑なに「送料無料」を謡い続けるヨドバシカメラ

とはいえ、送料無料はネット通販を利用する消費者にとって「魔法の言葉」。その表示の有無によって、購買の明暗が分かれるところです。これまで「送料無料」を武器に儲けてきた企業にとってはジレンマでしょう。

そうした流れに負けず、「日本全国送料無料」の看板を掲げ続けるのが、家電量販大手、ヨドバシカメラが運営する「ヨドバシ・ドット・コム」の「ヨドバシエクストリームサービス便(以下、エクストリーム便)」です。自社による配送を中心に、自らのコストで顧客に商品を届けています。

このヨドバシ・ドット・コムの強みは「送料無料」だけではありません。最短、即日数時間以内という、そのスピードです。

こうしたビジネスモデルを可能にしている、「ヨドバシ・ドット・コム」の強みとは、いったい何なのでしょうか?