JR池袋駅構内にできた石川県の臨時アンテナショップは1日中行列が絶えず、初日の来店は予想の3~5倍。チェーンストア研究家・ライターの谷頭和希さんは「駅ナカ店や店舗内ポップアップストアはすっかり人気定着したが、その出発点はスキマビジネス。石川のポップアップストアのヒットには被災地応援の心理のほかにも“街のスキマ”を見つけて稼ぐ技が光っている」という――。

石川県のポップアップストアが大好評

JR池袋駅は1日の平均乗降人員が約46万人でJR東日本管内では新宿駅に次いで第2位の規模を誇る。1月下旬から2月上旬にかけて、その池袋駅構内に臨時で作られた「ポップアップストア」は1日中、長蛇の列がなくならなかった。

アンテナショップ Pre-Eventのポスター
筆者撮影
アンテナショップ Pre-Eventのポスター

実はこれ、石川県の臨時アンテナショップ。3月9日に八重洲にできるアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」がオープンするまでの間、首都圏近郊を中心に継続的に開催される。

このストアには、1月1日に発生した能登半島地震への復興支援の意味合いもあり、売り上げは被災地への義援金としても使われる。石川県によると、今後は、以下の日程で開催される予定だ。

2月8日(木)〜2月9日(金) 都内(板橋区) 板橋区役所
2月14日(水)〜2月20日(火) 埼玉県 丸広百貨店 上尾店
2月15日(木)〜2月21日(水) 埼玉県 大宮駅
2月17日(土)〜2月18日(日) 都内(千代田区) 東京駅
2月21日(水)〜2月27日(火) 埼玉県 丸広百貨店 川越店
2月23日(金)〜2月25日(日) 都内(文京区) 湯島天満宮(湯島天神)

池袋駅構内で行われた第1弾は大好評で、主催者によれば、初日の来店は想定の3~5倍だったという。大反響の理由には、今なお生活すらままならない被災者への復興支援を願う人々が多くいることは言うまでもない。

だが、それだけではない。「駅の構内で行われるポップアップストア」という形態自体が、現在の商業施設のトレンドにマッチしていることも功を奏したのではないかと筆者は考えている。どういうことか。今回は、この石川県のポップアップストアから、現在の商業施設の立地トレンドを見てみたい。ポイントは

① 駅ナカ需要の継続的な増加
② ポップアップストアの流行
③ 「街のスキマ」を見つけるトレンド

の3つである。