寿スピリッツグループが東京駅のスイーツフロアを席巻
「私は元々ツイている思想の持ち主です。何があってもツイているんですよ」と笑顔で爽やかに語る社長。その屈託のない満面の笑みに、普段ならば「そんな事はないでしょうに」と反論の気持ちが浮かぶところが、むしろ爽快でもあった。
取材相手は、鳥取県米子市に本社を構える「寿スピリッツ」社長の河越誠剛さん(63歳)だ。先代の興した会社を継ぎ、1994年に社長になった。
「鳥取の田舎の会社の話?」と思われた読者のみなさん、早合点しないでほしい。この寿スピリッツは驚くべき展開をしている会社なのだ。
ここでJR東京駅に目を転じる。東京駅は、一日の平均乗車人員数は34万6658人(2022年度)、東海道新幹線を皮切りに、北陸新幹線、上越新幹線、東北新幹線など6つの新幹線の発着駅を擁し、JR東日本最多11面22線のホームがあるマンモス駅でもある。当然、観光客や帰省客向けの、お土産物店舗も他の駅と比較できないほど多い。
そのお土産激戦区の東京駅エリアで、寿スピリッツグループの企業が菓子店を14店舗手がけており、どれも大人気店となっていると聞くと、見方も変わってくるのではないか。
売上高、営業利益ともに過去最高を記録した
ザ・メープルマニア、COCORIS、東京ミルクチーズ工場、PISTA&TOKYO、岡田謹製あんバター屋、nekochef、バターバトラー、Now on Cheese♪……。これら全て、寿スピリッツのグループ企業が展開するブランドだ。
コロナ禍が収束し、東京駅に観光客やインバウンドの賑わいが戻ったのと連動するように、寿スピリッツは2023年3月期に売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。
河越さんは、会社の強さの秘密を「社員の一人ひとりが主役であり、それこそが最高の戦略なんですよ」と語る。そこには社員一丸となって、コロナを乗り切り企業をもっと逞しくした経営理念があるという。そんな大胆発想の会社を解析していく。