コンビニジム「チョコザップ」のサービスの多角化が止まらない。新規で一部店舗にワークスペースやカラオケルーム、コインランドリー、キッズスペースなどを導入した。ライターの谷頭和希さんは「チョコザップが戦うべき敵はもはや同業者のジムではなく、カフェやファストフード、コンビニなど異業種で、今後、どの街にも不可欠なインフラの場所となっていく可能性が高い」という――。
チョコザップ
画像=プレスリリースより
チョコザップ

チョコザップのサービスの多様化が止まらない

コンビニジムとして知られる「チョコザップ」が、「スマートライフジム」に向けて新領域を展開するというプレスリリースを出した。発表によれば、2024年3月28日から、カラオケ、洗濯、キッズパークなどの新サービスが本格的に導入されるという(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000121693.html)。

チョコザップは2023年9月、「セルフホワイトニング」「セルフネイル」「マッサージチェア」などの6種の新サービスを導入したばかり。これら新しい取り組みによって、会員数や店舗数が増加し、現在、店舗数は1383店舗(24年3月末見込)、会員数は112万4000人(24年2月14日時点)に及んでいる。

こうしたチョコザップの多角化が進む中で、そのビジネス上の敵が変わっている。今回は、その変化について見ていこう。

初期は「対ジム」だった「チョコザップ」

もともと、チョコザップは、既存の本格的なジムに対して「チョコっとだけ」トレーニングをすることができるジムとして、その優位性を発揮していた。ジムというと、トレーニング上級者(トレーナーなど)の男性がいて、どこか怖い雰囲気がある……というイメージを崩したのが、チョコザップである。

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撮影=プレジデントオンライン編集部
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この段階でチョコザップは、あくまでも「ジム」であり、既存のジムがターゲットにしていなかった層を呼び込むことを目的としたビジネスであった。特に住宅街の中など、日常的に使いやすい場所に狙いを定めた出店によって、運動の服に着替えずに数分だけ鍛える、美容を主目的にする、などジムに行くことのハードルを下げた出店は、こうしたライト層への訴求に役立ったといえるだろう。この点は、同社社長の瀬戸健もインタビューの中で繰り返し述べているところだ。

初期の頃、チョコザップが戦っていたのは「既存のジム」であり、そうした施設との顧客の奪い合い(あるいは新規顧客の開拓)に成功したことが、チョコざっぷ躍進の理由でもあった。

しかし、現在のチョコザップの展開を見ていると、筆者の見立てではもはやチョコザップが戦うべき敵はジムではなく、以下の3つの場所になっていると感じる。

①カフェやファストフードなどの「時間を潰す場所」
②コインランドリーなどの「時間を潰す必要が生まれる場所」
③コンビニなどの「半ば公共インフラ化している場所」

以下、詳しく見てみよう。