※本稿は、岩田松雄『共感型リーダー まわりが自然と動く、何歳からでも身につく思考法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
仕事の目的を伝えないと若手は辞めてしまう
最近は若者の離職が多くなってきています。それぞれが夢を描いて入社してきたのに、こんなはずではなかったということなのでしょう。2018年の内閣府の『子供・若者白書』によると初職の離職理由は、
1位「仕事が自分に合わなかったため」(23.0%)
2位「人間関係がよくなかったため」(10.0%)
3位「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」(6.8%)
となっています。1位の「仕事が自分に合わなかったため」の原因として、上司がきちんと仕事の意義や内容をしっかり説明をしていなかったことも考えられます。
仕事をしていて、とてもつらいのは、「こんなことをしていて何か意味があるのか……」と、仕事の意義が見出せなくなるときです。リーダーは「この仕事は何のためにするのか」と、仕事の目的や意義をしっかりと伝えないといけません。
それなしに、ただ「やっておけ!」と言われても、やらされ感しかなく、モチベーションは上がりません。もちろん仕事の中にはクレーム処理や雑用など、なかなか「頑張ろう!」という気持ちになりにくいものもありますが、それでもどのように人の役に立っているのかなどそこに意味を見出して示すのがリーダーの役割です。またどんな些細なことでも、「ありがとう!」「助かったよ」の声掛けをしっかりすることが大切です。
「目標設定や評価の仕方」への不満が多い
ある企業では30代の離職がとても多く、その理由をヒアリングしてみると、「将来に対する不安」がとても多くありました。これはトップが社員に対してきちんとしたビジョンや将来に対する夢や希望・キャリアパスを示すことができていないことが原因だと思います。
次に多かったのが、「目標設定の仕方や評価の仕方」などへの不満でした。一方的な上からの押し付けの数値目標や業績のみの評価の仕方があり、マネジメントへの共感が持てなかったことが原因です。
売り上げ・利益などの数字だけではなく、会社が大切にしている価値観に対しても、しっかり評価項目に入れることが大切です。この会社は、社員のミッションへの共感度はとても高く、それが具体的な評価と結びついていないことが原因だと思われます。
「私には夢がある」
“I have a dream.”
――マーティン・ルーサー・キング牧師
キング牧師の未来のイメージつまりビジョンは、自分たちの子供たちが、「肌の色ではなく、人間性の内容によって判断される」世界を語りました。兄弟愛、尊敬、万人の自由というアメリカの建国の価値観と繋がる、具体的な未来のイメージを訴えました。