最高級の和牛料理で国内外の食通からVIPまで幅広い人々を魅了し、現在では全世界25店舗を展開する「WAGYUMAFIA」。もともとはメディア事業を手掛けていたエグゼクティブシェフの浜田寿人さんが、和牛の可能性に魅せられ、たった一人でスタートさせたプロジェクトがすべての始まりだった。浜田さんは「数ある日本の誇れる商品、食品、サービスを、小さく始めて、とことんニッチを攻めていけば、日本を飛び越えて世界でも十分勝つことができる」という──。(第1回/全5回)
※本稿は、浜田寿人『ウルトラ・ニッチ』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
小さく始めよ、一人でやれ
香港、サウジアラビア、アメリカ、イギリス……。僕の和牛ビジネスは、すでに世界に広がっています。
世界中の有名シェフや有名ホテル関係者などから、「WAGYUMAFIAを出店してほしい」「ポップアップイベントをやってほしい」「コラボレーションしたい」「パフォーマンスが見たい」「和牛を扱いたい」といった問い合わせを数多くもらっています。
僕は7年前に和牛のビジネスをたった一人で始めました。今は大きなオフィスを構えてスタッフも100人を超えていますが、それまでずっとオフィスはなく、自宅のリビングや近所のスターバックスが仕事場で、iPhoneが仕事道具でした。
今は、一人で始められるのです。一人で小さく始めればいいのです。
本当に「ワクワク」しているか?
20代で映画関連のメディアを自ら立ち上げた僕は「カフェグルーヴ」という会社を作り、事業をさまざまに広げていきました。映画の配給事業もその1つでした。
また、ウェブの知識をベースにeコマースの会社「VIVA JAPAN」をスタートさせたり、映画関係者を招きたいからとレストラン事業を始めたり。
PRやブランディングのスキルを買われて、大手広告代理店から受託の仕事も受けていました。その他にも、シャンパンや葉巻を輸入するほか、細々としたビジネスをたくさんやっていました。会社もいくつか立ち上げました。
ベンチャーキャピタルからも数億円の投資をもらい、事業はとても順調でした。しかし、あるとき、思うことがありました。本当にワクワクする仕事、納得する仕事ができているのか──自分で疑問に感じたのです。