「WAGYUMAFIA」といえば、野太い威勢のいい声で「いってらっしゃい!」と掛け声をかけながら料理を提供する姿が有名だ。どうしてこのようなスタイルになったのか。代表の浜田寿人さんは「和牛のおいしさはもちろんのこと、楽しんでもらうために始めたが、『これぞWAGYUMAFIAのパフォーマンスだ』と、すっかり世界中で支持を受けている」という──。(第4回/全5回)

※本稿は、浜田寿人『ウルトラ・ニッチ』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

独特のパフォーマンスはエンターテインメント

和牛のおいしさはもちろんのこと、楽しんでもらうという点で、これぞWAGYUMAFIAのパフォーマンスだとして支持を受けているのが、野太い声の「いってらっしゃい!」です。

にらみつけるようなポーズで、お客さまに光り輝く和牛を見てもらう。WAGYUMAFIAのレストランや、ワールドツアーやポップアップなど、世界各国で開催しているイベントでも、お馴染みのパフォーマンスです。

外国人には「EAT-N-SHOUT」(イートゥンシャウト/いってらっしゃい)」という意味だと説明しています。一種の語呂合わせのようなものですが、日本の和牛を世界に知ってもらうためのエンターテインメントの一環だと考えています。

肉を調理
写真=iStock.com/Andrii Zastrozhnov
※写真はイメージです

香港発、世界市場へ

このパフォーマンスを広く世界に知ってもらううえで、大きな役割を果たしたと思えるのが、海外出店でした。2018年11月、WAGYUMAFIA初の海外出店が、香港でした。

もともと金融市場のある都市は、和牛を食べてもらうという点で、とても魅力があると考えていました。富裕層が多くいますし、また、金融の世界にいる人たちは世界を飛び回っているので、WAGYUMAFIAを知ってもらえれば、彼らが世界中にその情報を持って行ってくれるという狙いがありました。

そこでWAGYUMAFIAを作るとき、僕は世界10の都市への展開を考えたのでした。ワールドツアーをしたのは、どの場所が10都市にふさわしいかを見極めるという目的もありました。

和牛は高価です。支払い能力が高い人たちが、たくさんいる場所=都市でなければ、やはり出店は難しい。

ブランディング的な価値はあるけれど、本当に利益を出せるか、続けられるか、ということは、現地のイベントパートナーなどに確認していきました。そこはシビアに見極めなければならないと思っていました。