日本コカ・コーラ「檸檬堂」は、当初アルコール度数3%、5%、7%で商品を展開していた。9%の商品は後から加わったのだ。元日本コカ・コーラ最高マーケティング責任者の和佐高志さんは「あえて『9%が出ました』という広告の打ち出し方をしなかった。それが効果的だった」という――。

※本稿は、和佐高志『メガヒットが連発する 殻を破る思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

日本コカ・コーラの缶酎ハイ「檸檬堂(れもんどう)」
写真=時事通信フォト
日本コカ・コーラの缶酎ハイ「檸檬堂れもんどう」=2019年10月11日、東京都渋谷区

コカ・コーラがアルコールを出すことのリスクはどの程度か

「檸檬堂」のプロジェクトにおける大きな難関は、アトランタのグローバル本社の最終許可を得ることでした。幸いにも日本コカ・コーラで、このシークレットプロジェクトを応援してくれていた戦略チームのヴァイスプレジデントがいました。

私の上司と同格の人物でしたから、私より少し上の立場になります。戦略チームで事業ポートフォリオ戦略を担っていた彼が「私がアトランタの承認を取る役割をするから、和佐さんたちは製品開発に全力を尽くして欲しい」と言ってくれました。なんとも心強いパートナーです。最終的にそのヴァイスプレジデントや日本コカ・コーラの社長が、アトランタ本社の承認を取ってくれたのです。

そこで我々が強調したのは、九州でテストマーケットをする、ということでした。コカ・コーラがアルコールを出して、どんなリスクが出てくるか。日本で何か起こらないか。それが海外に飛び火したりしないか。

本社が何より懸念していたのは、アルコールを出すことのリスクがどの程度なのか、でした。なので、九州でテストしましょう、と伝えたのです。

九州は日本の南端にあって、日本全体の10%ほどのマーケット。それなら、まずは大丈夫だろう、ということになりました。

「コカ・コーラがとうとう酒を売るか」

九州のテストマーケティングでは、発売1カ月でいきなり缶チューハイレモンフレーバー部門のトップシェアを獲得しました。九州でしか売っていないのに、人気タレントが全国放送のテレビ番組で取り上げてくれたりもしました。

テレビ番組というのは「マツコの知らない世界」です。3種類のラインナップや前割りレモン製法まで紹介してくれ、「コカ・コーラがとうとう酒を売るか」というマツコ・デラックスさんのセリフまで飛び出しました。これが大きな話題になり、ますます人気に火が付きました。九州に出張に行ったビジネスパーソンがお土産に買って帰っている、という話も聞きました。

もちろんテストマーケティングですから調査もしました。消費者からは「飲みやすい」「クリアテイスト」「フルーツテイストがおいしい」「クラフトマンシップを感じる」「新しい」「フレッシュ」といった声が上がっていました。

どうして購入したのかを聞くと、「クラフトのレモンサワーだったから」「レモンがたくさん入っているから」という理由がもっとも多かった。まさに狙い通りでした。

一方で、課題も見えてきました。