「あなたは何レモン?」で全ラインナップが伸びた
実際、「9%が出ました」という打ち出し方を求めていない、ということはデータからもはっきりわかりました。それは、ヘビーユーザーでも同様でした。
そこで、3%の「檸檬堂 はちみつレモン」、5%の「檸檬堂 定番レモン」、7%の「檸檬堂 塩レモン」、9%の「檸檬堂 鬼レモン」の4種類の製品の写真を並べ、「あなたは何レモン?」というキャッチフレーズをつけた広告を作りました。これが、強く支持され、すべてのラインナップが大きく伸びたのでした。
さらに後に350ミリリットルだけでなく、500ミリリットルも出すことになりますが、ここでも知恵を絞りました。単なる「500ミリリットルが増えました」では、あまりに面白くない。
リアルな専門店では、普通よりも大きなサイズのレモンサワーは「メガサイズ」といったネーミングで出されていました。そこで、「檸檬堂」も「ホームランサイズ」という呼び名にしたのです。
これは、チームのメンバーのアイデアでした。お店風にしたい、ホームランサイズという名前にしたいと聞いたときには、なんとも遊び心を感じられて、笑いながらすぐに「よし、それで行こう」とジャッジしたのを覚えています。
少人数でのプロジェクトで、私にほとんど100%の権限が委ねられており、「和佐さんがいいと思うなら、やったらいいよ」という状況を会社が作ってくれていました。だから、すべてにおいて遊び心たっぷりの仕事にすることができたのが、「檸檬堂」のプロジェクトでした。
レッドオーシャンに見える市場でもチャンスは必ずある
私がOKを出せば、なんでも動いてしまう。歴史ある大きなブランドだと、こうはいきません。いろいろなところで、「前はこうだった」といったチャチャが入る。しかし、新ブランドはそんなことはないのです。
細かなところまで遊び心を使い、楽しく進めたのでした。だからこそ、うまくいったのだと思っています。そして、やはり王道、定番にこだわったこと。一番売れるのは、やはり真ん中なのです。
真ん中でこそ、勝負する。そして、どこにもないエッジの立ったものを作る。「ああ、これは私のブランドだ」と思えるものにこだわる。レッドオーシャンに見える市場でも、チャンスは必ずあるのです。
「檸檬堂」はすでにグローバルに進出しています。パッケージの漢字の部分をそのままアルファベットの「LEMONDO」にして、世界のポテンシャルのあるところで販売されています。
たとえばフィリピンでは、大変な売れ行きで、「アルコポップ」市場ですでに定番ブランドになっているそうです。グローバルのコカ・コーラでは、このプロジェクトが発端になって、アルコール製品の新たな模索が始まっています。
コカ・コーラという世界的企業の新たなポテンシャルをも、「檸檬堂」はこじ開けたのです。